『観相師』に続く占い三部作映画の2本目となる本作は、王女が占いにより決めた婚約者を自分の目で確かめるために巷間に出るという「朝鮮時代版:ローマの休日」のようなストーリーが楽しめます。
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王女役に『怪しい彼女』のシム・ウンギョン、王女と結婚相手を占う監察官に『花遊記』のイ・スンギが除隊後初映画出演(撮影は入隊前でしたが・・)、婚約者には『病院船』CNBLUEカン・ミンヒョク、『新感染ファイナルエクスプレス』チェ・ウシク、『7日の王妃』ヨン・ウジン、監察官の弟役には『花郎』SHINeeミンホと豪華若手メンバーの出演に目を見張ります。
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韓国では公開から7日間連続で興行成績1位のヒット映画となりました。
(画像はhttps://barista7.tistory.com/271より引用)
『ときめきプリンセス婚活記』あらすじ
英祖 29年(1753年)、王(キム・サンギョン)は深刻な大干ばつから民を救うために、あらゆる策を尽くしていた。だが雨は一向に降らず、困り果てた王は占術に頼り、陰陽の均衡の崩れを元通りにするため、婚期を迎えた娘・ソンファ姫(シム・ウンギョン)と、最高の相性を持つ男性を婿として迎え入れ、婚礼を執り行う事を決断する!
姫に相応しい婿を見つける為に、朝鮮最高の監察官(占い師)ソ・ドユン(イ・スンギ)が抜擢され、一大婚活プロジェクトが始動!国中から選りすぐりの花婿候補が集い、占いによって4人の最終候補が絞り込まれた。しかしソンファは見ず知らずの男性と結婚する事は出来ないと、4人の素顔を知るべく宮中を抜け出して町へ出るのだが、ソ・ドユンに見つかり…公式ページより引用
『ときめきプリンセス婚活記』見どころ
1753年朝鮮では記録的な大干ばつによる被害で国民は貧困に窮していました。
そこで時の王は色々策を練り雨乞いの祈祷をしたりもしましたが、一向に雨は降らず、民の暮らしは疲弊していくばかりです。
そんな中、王女の婚姻により雨を降らせようという声が怒涛のように王宮に届きます。
雨乞いのために王女であるイ・ソンファ(シム・ウンギョン)の婚活一大プロジェクトがスタートするのです。
王は王女の結婚相手の条件として、
●年が離れすぎていないこと
●姓が「李(イ:本貫<先祖の戸籍が同じだと結婚できなかったため>)」ではないこと。
●健康な男性であること
を条件に都に王妃の結婚相手を探すようにと御触れを出します。
この時代の結婚は身分などもありますが、何よりも占いの相性が大事でした。
そこで天才的な占いの才能を持つ監察官のソ・ドユン(イ・スンギ)に白羽の矢が刺さり、4人の婚約者候補が占いによって浮かび上がったのです。
気の毒な王女
王女は正室の子ではなかったために王宮外で育ったものの母を亡くしていて、幼い頃に王の体調の不調により占いで急遽王宮に迎えられたのですが「相性」が悪いという理由でずっと一緒だった乳母は宮廷から追い出されてしまいます。
ソンファは幼いながらも王女として王の体調回復のためにと銀杏の煮汁や小豆の煮汁で沐浴させられては体が臭いと嘆きますが、そんな時に下女からハッカ飴を貰ってからハッカ飴が手放せなくなります。
ソンファ王女の王宮への帰還により、父である王の体調は良くなりますが、無事に王女として王宮で過ごすようになったソンファの心の奥にはいつも身近なものがいないという孤独感を抱えながら生きています。
何かあるとハッカ飴で心を落ち着けています。
嫁いだ姉が運命の相手と結婚したと思っていたソンファは羨まりますが、当の姉は今の夫が「運命の相手ではなく、占いで決められただけで見たこともない相手と夫婦になっては愛することができない」と言う話を聞いてますます怖くなってしまいます。
自分の知らない間に着々と自分の縁談話は整っていき、真綿で首を絞められるような恐怖さえ感じます。
自分の結婚相手なのだから自分の目で見てみたいと心逸ったソンファは鶴の仮面を被り、自分のおつきの宮女のふりをして婚約者の書かれている「四柱単子(新郎の生年・月・日・時の四つの干支が書かれた書)」を監察官から奪おうとします。
4人の婚約者候補の書かれた書を手に入れたソンファは婚約者に会いに宮女のふりをしたまま町へと繰り出します。
第一の婚約者候補 チョ・ユサン
最初の相手チョ・ユサンはなんと10歳の男の子でした。
ソンファは男装して自分の最初の婚約者に会いに行くも、あまりの幼さと見た目からも想像できる彼の食欲に愕然とします。
目の前に置かれた鶏肉を食べようとしてもすべてユサンに奪われてしまいます。
王女の婿候補になるために早く背を伸ばしたいという悩みをソンファは「時期が来れば誰だって伸びる」と優しく教えてあげます。
自分の単子を盗んだ宮女だと思って終始ソンファに付きまとうドユンですが、ついついソンファの世話係のようになってしまいます。
ユサンに全ての鶏肉を奪われたソンファにアレルギーがあるからと自分の物を差し出したりして、シレっとした優しさがツンデレでワクワクしてしまいます。
気が付けばいつも彼女を探し、困っていれば必ず見つけ出して手を差し伸べてくれるような関係に発展していきます。
━━正直なソンファが自分の生年月日と生まれた時間を告げたことで、途中で王女だと気付いてからは、尚更に。
第二の婚約者候補 カン・フィ
次の相手カン・フィ(CNBLUE:カン・ミンヒョク)は女性からは顔を見ただけで憧れてしまうという美男子として登場しますが、話だけではかなりの遊び人のようです。
実際にも酒と女にだらしないの見目のいいだけの男性でした。
カン・フィを探ろうと近付くソンファですが、逆に酒に飲まれてへべれけになったところをドユンに助けられます。
第三の婚約者候補 ナム・チホ
3番目の婚約者候補ナム・チホ(チェ・ウシク)は病気で寝込んでいる母親思いでいつも笑顔の好青年です。
チホの家の使用人たちの子供がお腹を減らしていることを知り、米を買ってきてお腹を満たしてあげるソンファですが、実はチホは残忍な性格を隠していただけです。
使用人は殴る蹴る踏むは当たり前、母が寝込んだ原因もチホの残忍な行為を見たからであり、今はお腹を満たした使用人たちの子供が自分の蔵から米を盗んだ疑いでボコボコにしています。
米を買ってきたソンファも憎しみの対象となり、使用人の子供から逃がされたものの、後から追っ手を放って嬲り殺そうとします。
そこでまた颯爽とドユンが現れてソンファを救い出すことに成功するのです。
この時、崖から落ちたソンファを追いかけて自分も崖から飛び降たドユンには愛しか感じられませんでした。
お互いの中でも強い絆がなければこんな事は出来なかったでしょう。
もうこの時には2人は愛し合っていたとしか思えません。
本命?! ユン・シギョン
ドユンの従兄弟であり官職に就いていて将来有望とされるユン・シギュン(ヨン・ウジン)は執拗に権力を見つめる男性です。
自分が王女の婿になり次期王になろうと、幼い世子(皇太子)の母親であるヨンビンと、宮廷の裏で手を拱いて今の王政を覆そうと企む官職のパク・インと手を組みます。
貪欲な野心は自分の進む道を隔てる者は利用して捨てようとする残忍さがありますが、エリート官僚としての才能は周りとは別格です。
官僚としての才能が王に値する才能だとは思いませんし、貪欲すぎる野心は王にはふさわしくありませんが、自分の欲望のために何が何でもソンファと結婚する意志を誰よりも強く持っています。
『ときめきプリンセス婚活記』キャスト相関図
『ときめきプリンセス婚活記』感想
原題は「궁합(コンハプ)」で「相性」という意味(正確には宮合と言うらしい)ですが、邦題の『ときめきプリンセス婚活記』はやめて欲しいタイトルですね。
『観相師』を入れた三部作となればますます、タイトルが嫌でたまりません。
この作品だけ観れば気楽に楽しめるラブコメなのですが「”占い”三部作」と言われてしまえば、『観相師』での終盤の悲壮感が台無しになってしまいます。
タイトルさえ違えばもっと最後のハッピーエンドも感動したのかと思って悔やまれます。
『観相師』では人相を見ていましたが、この作品ではその人の生まれた生年月日と時間を陰陽五行説に基づいて割り出し、結婚の相性を見ていく四柱推命というものです。
哀しい運命に弄ばれても、王女として宮廷の中だでは決して甘んじない天真爛漫で行動力と好奇心旺盛な王女をコメディの実力派女優シム・ウンギョンが大胆に演じていてさすがだと思いました。
占いをする監察官のイ・スンギも『花遊記』とはまた違った真面目すぎる誠実な演技で王女との対比が素晴らしく、ストーリーとしては面白く納得のいく作品です。
歪まされた相性
ドユンには愛する盲目の弟ガユン(SHINee:ミンホ)がいます。
兄弟仲はとても良く弟の体をいつも気遣うドユンですが、愛する者がいるということはそれは”弱み”にもなります。
野望に目がくらんでいるシギョンはその弱みに付け込んでドユンを利用します。
ガユンを人質にとり、自分と王女との相性が最高になるようにドユンに偽の四柱単子を作成させ、王に閲覧してもらい婿として認めさせようとします。
弟のために身を切る思いでシギョンの偽の生年月日と時刻をソンファと最高の相性になるように改ざんしはじめるのです。
王女の結婚
シギョンとヨンビン、パク・インの企みによりソンファとシギョンの婚礼が執り行われることになりました。
用意周到にシギョンは手を回して、王女に罪人から押収した幻覚剤入りのロウソクを使用してありもしない既成事実を作ったりと卑怯な手段に訴えます。
ソンファはすべて干ばつのためと我慢して婚礼の式典を受け入れ、2人の結婚式は始まろうとします。
その時、シギョンに偽の四柱単子を渡したにもかかわらず弟を殺されかけたドユンは怒り心頭です。
その上、幻覚剤まで使ってソンファを手に入れようとしたことに気付き、ソンファのことを想うといてもたってもいられずに婚礼をぶち壊しに行きます。
2人の本当の相性が最悪な事、自分が偽って四柱単子を作成したことを婚礼の式典に宮中の層々たる面々が集まった中で大胆に告発します。
自分が偽って作った占いの結果により何よりもソンファのこれからの人生がボロボロに崩れ去っていくのが我慢できないという想いもありました。
シギョンとパク・インは罪を受け、ヨンビンも罪はありますが、幼い世子を守るためだったということで罪を減刑されます。
ドユンは偽りの占い結果を提出したことにより、遠島を申し付けられ、もう都に戻ってくることはないでしょう。
自分のために婚礼を止めてくれたドユンに罪はないとソンファは何度も王にお願いしますが、偽の占いを出した罪は本来なら死罪にも値します。
ソンファはそこで王である父に言います。
━━私は婚約者の顔が見たかったわけではありません。王女としてではなく、私を愛してくれる男性がいるのか知りたかったのです。
ソンファの脳裏にはドユンとの懐かしい日々が蘇り、続けます。
━━人生から愛を取ったら何が残りましょうか?!
干ばつの終わり
婚礼が失敗すると同時に雨が降り出します。
ソンファは今まで側にいたドユンのことしか考えられません。
他の縁談も彼でなくなては意味がないのです。
王女の本心の愛を知った王は、王女に後悔はないかと聞くと、ソンファは力強く頷きます。
ソンファは愛のためにドユンを追いかけます。
雨は止まず、恵みの雨は2人の心を結ぶように優しく包みます。
船着場でいない船を見て崩れ泣きくれるソンファに優しい傘ができます。
ドユンが泣くソンファが濡れないように自分の袖で庇ってくれていたのです。
『ときめきプリンセス婚活記』まとめ
『観相師』の2作目と事前に知っていたので、最後が辛かったらどうしようかとハラハラしながら観ました。
観相師|ソンガンホ&チョジョンソク&イジョンソク&イジョンジェ主演!感想と見どころ
ハッピーエンドで良かったと安心しました!
シム・ウンギョンとイ・スンギで安定感あるラブコメ作品になっています。
日本だって戦争中や戦後も顔を知らずに結婚していたのですから、ソンファがこの時代にいかに無謀な冒険をしたかと考えると面白くもあり、恐怖もあります。
知らない世界に出たいと思っても出られない時代に敢えて出て行った王女は「ローマの休日」の王女よりもかなりな好奇心と冒険心がないと出来ないところをシム・ウンギョンがあっさりとしていて痛快です。
私はシム・ウンギョンがいつもイモトアヤコに見えてしまい(赤と黒の時から)、世界に韓国の珍獣ハンターとして出て行ってもらいたいと思っています。
話が逸れましたね・・。
時代とはいえ、世情や決め事の占いで結婚するよりも、愛を知って添い遂げたい人と一緒になる事が1番ではないでしょうか?
ドユンも王に「天から動かされてはいない。天を動かすのは人です」と奏上しています。
運命を切り開くのは自分です。
何か辛い事があっても明日から自分は自分と生きて行きましょう。
そうして明日は明るくなるのです。