「パイレーツ」「無頼漢 渇いた罪」のキム・ナムギルと、「愛を歌う花」「哭声 コクソン」のチョン・ウヒの主演で贈るファンタジックラブストーリーと謳われたこの映画、実は泣けるヒューマンドラマです。
主演のキム・ナムギルも最初にシナリオを読んで泣いたというほど、胸に訴えてきます。
怒りや裏切り、慟哭などの強い感情ではなく、静かに雪が降り積もるようなそんな悲しみに包まれます。
誰も悪くはない、ただ、事故や病気という運命に狂わされただけの悲しい物語です。
妻を失い、すべてにおいてやる気が出ない保険員と、調査対象の事故にあった二ヶ月間植物状態の視覚障碍を持つ女性の霊との心の触れ合いを通して、人間の生きていく様と消えない悲しみを克服する心情を表現しています。
『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』あらすじ
最愛の妻を事故で失い、無気力な日々を送りながら保険会社に勤めているガンスは、ある日、仕事のため交通事故の被害者となった女性が入院している病院を訪れる。
被害者の女性ミソは事故で意識を失い、2カ月近くも植物状態が続いていた。
そんなミソの病室で青い服を着た女性と出くわしたガンスだったが、その女性は、自分の姿がガンスに見えていることに驚く。
後日、再び病室を訪れ、またも青い服の女性と対面したガンス。
しかし、ふと目に入った病室の鏡に映る自分の隣に、彼女の姿は映っておらず……。公式ページより引用
『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』見どころ
保険員イ・ガンス(キム・ナムギル)は、最愛の妻を亡くして自暴自棄の生活を送っています。
妻の葬儀の日には参列もせず、仕事にも行かず、ただ町を彷徨って時間をつぶし、夜、自宅で妻がいつも座っていたダイニングの席にそっと線香代わりの煙草を供えるだけです。
妻の病気と死により、生き甲斐を失ったガンスはそれでも仕事場へ行きますが、職場で待っていたのは妻の弟(ソンジュン)の激しい叱責です。
弱々しく抵抗するガンスですが、席に戻ると示談の成立が難しい保険事故の対応を任され、保険事故の調査を嫌々する羽目に・・。
後日、キムチを携えて家に訪ねてくる妻の母親が息子の行動を謝りながら、いいお母さんだと思ったら、ドラマ『赤と黒』で最初から最後まで嫌味な母親役の女優キム・ヘオクで、ちょっとした驚きもありました。
序盤のこの2人のカメオ出演だけでも観る価値はあると思います。
被害者女性タン・ミソとの出会い
植物状態のままの視覚障碍の女性、タン・ミソ(チョン・ウヒ)の調査に行くも、情報は得られず、引き出しの写真を撮っていると、女性に声をかけられます。
その女性は「私が見えるの?」などと変なことばかり言い寄ってきます。
慌てたガンスは病室にあった石ころを持ったまま出てきてしまい、戻そうとしますが、他の保険金詐欺の常連を見つけ、そちらに向かいます。
その夜、酔ったガンスはミソの病室に立ち寄り、石ころを返しながら妻のことを思い出します。
「ミソ(微笑)はいい名前だよ。誰が付けてくれたんだ?知り合いに自分の名前が嫌いな人がいて・・ソンファって言うんだ、漢字で書くと善い花だけど、それがダサいって嫌ってたんだ・・」そう言いながら酔って眠ると、それを見降ろす昼間病室にいた女性。
翌朝、ミソの病室で起きて驚くガンスですが、早朝病院の窓から保険金詐欺の患者(ユン・ジェムン)がバイクで病院に帰った現場を押さえて、抗議に行きます。
抗議しているときに、昨日の女性がまた現れ、「自分はタン・ミソだ」と訴えますが、ガンスは信じることができません。
保険金詐欺患者には見えていないのでおかしいとは感じつつも、病院の鏡に映るのは自分のみで、目の前の彼女の姿は鏡に映らないことから、恐怖に襲われて仕事もほったらかして病院から逃げ帰ります。
被害者女性の霊はガンス以外の人には見えなかったのです。
ミソとガンスの支え合う日々
初めは霊という自分だけにしか見えないミソに驚いたものの、徐々に病院へ行きミソと会うたびに、ガンスの頑なだった心は癒され、ミソと一緒にいる事が当たり前のようになってきます。
そして、霊になって目が見えるようになった彼女のお願いを聞いて外に連れ出してあげます。
道を歩くと雪のように花びらが頭上から降ってくるとき、ミソの霊になった掌から花びらはすり抜けてしまいます。
残念そうなミソの掌の下にガンスは自分の手を重ねて花びらを受け止めさせてあげると、嬉しそうに微笑むミソ。
彼女が外へ出たい本当の目的は幼馴染の結婚式を見たかったのです。
そして、そこで自分の盲導犬として暮らしていた余生を送る犬にも出会います。
幼馴染はミソの代理人で彼女が示談成立を阻んでいたのですが、それさえもミソの幸せな笑顔の為に知らんぷりでガンスは済ませます。
後に、それが自分の職責を追い込むことになるのですが・・。
視覚障碍者で幼い頃母親に捨てられた彼女に心を痛めたガンスはミソの母親を探しますが、母親は高校生の娘がいて、ミソを娘と認めません。
容体の急変したミソの為に、彼女の幼馴染と連れ立って母親の説得に向かいますが、結果は━━。
『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』感想
この作品で、主人公イ・ガンスの変化の一つは凧揚げのシーンだと思います。
ミソにこの男の子だけお父さんが来ていないからと、凧作りを頼まれるものの、乗り気でないガンス。
しかし、いざ凧を作り出すと表情が出てきて、いざ凧上げになると本物の父親のように見えます。
手伝えないものの、見守るミソとの3人は本当の親子のようで、観ているこちらまで楽しくなりました。
やる気のなかったガンスが人間としての生き方を、療養中の子供を通して学んだように思います。
また、その父親が保険金詐欺の常習犯で、今までいがみ合っていた彼とガンスが子供を通じて心が通った瞬間には、詐欺をしていた理由が息子の治療費だと分かり、詐欺だとわかっていても彼を許せると思いました。
貧しいから、働いてもお金にならないし、息子の治療費は高い。
だから、詐欺と自覚してお金をだまし取り、自分も入院しているのに、毎夜仕事に出かけては早朝に病院に戻っていたのです。
タン・ミソと妻ソンファの想い
亡くなった妻ソンファ(イム・ファヨン)のいなくなった悲しみをずっと抱えたまま生きるガンス。
知り合ったミソのペースに巻き込まれて人間らしさを取り戻していきますが、ミソの悲しみを観る度に妻を思い出してしまいます。
明るく朗らかだった妻にある日病気が見つかり、「病気のせいで」日々変わっていく妻を見つめるやるせなさや、病気の為に自ら死を選んだ妻の悲しみをミソを通して見つめてしまいます。
考えるのは後悔ばかり。
ああしていれば、こうしていれば・・と。
そこでミソは最後に好きな光景を残したいと言い、ガンスと一緒に夕暮れの海辺へ行きます。
ミソはガンスにあるお願いをするのですが、ガンスはそれを受け入れてくれません。
いつしか、「私を忘れないで」という声と姿はミソのものから妻ソンファに変わっていて、今まで言えなかった愛する妻への想いを泣きながら吐き出したガンス。
ガンスはミソとソンファの連係プレーによって救われたのだと思います。
受け入れられなかった妻の死を、今更ですが、妻の本当の想いを知って今まで悲しくても泣けなかったガンスが海辺で号泣する姿は胸に迫るものがありました。
悲しみが消えることはないけれど、悲しみの半分が将来への希望に変わった瞬間だと思います。
『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』まとめ
海辺で泣くだけ泣いて心の重荷が軽くなったガンスは、ミソのお願いを聞き入れます。
ミソはソンファが病気になって亡くなるまでのガンスの様子を霊として見ていました。
この人になら病気で生きる辛さがわかると思ったのではないでしょうか!?
最初からこの人ならお願いを聞いてくれると感じていたのではないでしょうか!?
ソンファの想いを知ったからこそ、ガンスに希望を託し、ソンファとミソは繋がっていたのだろうと思います。
入院して誰にも迷惑をかけたくないのは誰しも当たり前の事です。
だから、ソンファの想いを知ったガンスだからこそ、生命維持装置を止めるお願いをしたのでしょう。
願いを受け入れたガンスには何が待っているのでしょうか。
犯罪行為とかそういう意味ではなく、彼の悲しみがなくなった部分にはミソを殺したという思いと助けたというどちらの思いが強く残ったのでしょうか?
悲しみは消えることはありません。
ただ、生きていれば悲しみに今の楽しさが上書きされて、忘れることができます。
でも、悲しみという出来事とその時の気持ちは永久に保存されていて消え去りはしません。
生きている限り持ち続けます。
ガンスは罪の思いを抱くかもしれませんが、助けてあげたと思って人生を歩んでいってほしいと思います。
あの日の雪のような花びらを笑顔の想い出として・・。
『ワン・デイ』フル動画を日本語字幕で無料かつ安全に視聴する方法
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ワン・デイ〜悲しみが消えるまで|日本語字幕フル動画を今すぐ安全に無料視聴する方法《韓国映画》感想・見どころも
https://twitter.com/kiokuho0127/status/850942105291595778より引用 「パイレーツ」「無頼漢 渇いた罪」のキム・ナムギルと、「愛を歌う花」「哭声 ...
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