『ナイン~9回の時間旅行~』のイ・ジヌクと『トゥーカップス』のチョ・ジョンソクが32年の時を超えて助け合うタイムリープサスペンスラブストーリーです。
2015年に生きる刑事と1983年の高校の音楽教師がお互いの現実を夢で見て、未来と過去で協力して最悪の事態を変えていくという斬新な設定の映画になっています。
32年の時を超えても姿が同じ女性の2役を『ごめん、愛してる』のイム・スジョンが演じています。
(画像はhttps://m.insight.co.kr/newsRead.php?ArtNo=58330より引用)
『時間離脱者』あらすじ
2014年大晦日、刑事ゴヌ(イ・ジヌク)は窃盗犯を追う中、銃弾に倒れ、瀕死の重傷を負う。
32年前の同日、同じ場所で、高校教師のジファン(チョ・ジョンソク)は恋人のユンジョン(イム・スジョン)がスリに遭い、その犯人を追う中、刃物で刺され重傷を負うが、その日を境にゴヌとジファンは互いの夢を通して過去・未来を知ることになる。
ある日、ジファンはユンジョンが何者かに喉を切られ殺害される未来を見てしまう。
一方、ゴヌは夢の中のユンジョンと瓜二つのソウン(イム・スジョン)に運命のように出会うが、彼女の身にも危険が・・・。TCエンタテイメントより引用
『時間離脱者』見どころ
実は、この映画のポスターに重要なメッセージが書かれています。
チョ・ジョンソクの1983年には「愛して守ってあげる」、2015年イ・ジヌクは「必ず彼女を救わなければ」、間に挟まれたイム・スジョンは「私を守って」とあります。
物語の核心をついたメッセージで、32年の時を超えて同じ姿の女性を守るために2人の男性が唯一の愛する者の為に奮闘する作品です。
1月1日の事故
1983年1月1日カウントダウンを無事終えたジファン(チョ・ジョンソク)とユンジョン(イム・スジョン)は新年の幕開けを祝います。
そしてジファンはユンジョンに指輪を贈り、プロポーズをして、新年早々に幸せを噛みしめる2人ですが、彼女の持っていたバッグが切り裂かれ、財布を盗られたことに気付き、犯人を追うも犯人に攻撃され倒れてしまいます。
2015年では年末年始返上で刑事として働くゴヌ(イ・ジヌク)は年明けとともに犯人確保のタイミングを狙っています。
しかし、ずっと作戦を練っていたにもかかわらず犯人の銃弾に撃たれてしまいます。
32年の時間を超えて、同じ時間に倒れてしまった2人の男性は心肺停止状態にまで陥りますが、医師のおかげと生きたいという思いで、無事に生還できます。
しかし、この時代を超えた同時刻の出来事から2人はお互いの時代の夢を見るようになります。
32年前の未解決事件
32年先の未来がわかるジファンは生徒たちに教えます。
「2015年には9月26日と27日の2日にかけて雪が降る」と言いますが、誰も信用しません。
しかし、ゴヌのいる2015年にはラジオから当時の生徒の誰かが憶えていて、そのことをDJに流してもらい、現実にジファンが32年前にいたことをゴヌは知ります。
そして、夢で見るユンジョンと瓜二つの女性を見つけます。
彼女は高校の化学教師で、務める高校先はユンジョンと別で、名前もソウンと違います。
しかし、ソウンは教頭から話を聞いて、以前講堂で火事があり、それから学校名が変わってしまったこと、ユンジョンのいた学校であることを知ります。
次第にゴヌの話を信じるようになり、2人の仲は近付いて行くのですが・・。
ある日未解決事件の整理を班長(チョン・ジニョン)から頼まれたゴヌは、その資料の中からユンジョンが1983年に殺害されていた事実を知ります。
夢でユンジョンの殺害を知ったジファンはなんとかユンジョンを助けようとしますが間に合わず、ユンジョンはウェディングドレスの試着の帰りに殺害されてしまいます。
そして、目をかけていた不良学生(イ・ミノ)の父親が犯人だとして捕まってしまうのですが、学生が父は犯人ではないと訴えて、それを信じてあげるジファンには切なくなります。
愛する相手を殺されただけでも辛いのに、犯人の息子として苛められる生徒を庇って救ってあげる教師という、誰にも真似ができない優しさと正義感に胸が痛くなります。
焼けなかった講堂
ゴヌはソウンと親しくなると、学校の1984年からの卒業名簿を見せてもらいますが、ジファンのクラスの生徒の殆どが白黒の死亡者として載っています。
講堂の火事でジファンのクラスの生徒ばかりが亡くなったようなのです。
ジファンは自分の生徒たちを助けるために、奮闘します。
愛するユンジョンは助けられなかったものの、生徒たちまで失いたくないと、火事が起こる日に消火器を両手に持って講堂に駆け付けます。
しかし、ただの火事ではなく、故意に起こされたものでした。
誰かが薬品を使って生徒たちの動きを封じて火をつけたのです。
ガスマスクをつけた犯人は顔がわからず、事件は謎に包まれます。
そして、2015年でもユンジョンとそっくりな容貌のソウンも誰かに狙われているのですが━━。
『時間離脱者』キャスト
32年後 刑事として働くゴヌ役ーイ・ジヌク
1983年、32年先の未来がわかる高校教師ジファン役ーチョ・ジョンソク
1983年、殺害された女性でジファンの恋人ユンジョン、32年後 高校の化学教師 ソウン役ーイム・スジョン
『時間離脱者』感想
タイムスリップではなく、時を超える物語は斬新でとても楽しめました。
タイムリープ物で私が観たのは『イルマーレ』以来かと思います。
イ・ジヌクで探していて観た作品なのですが、まさかのチョ・ジョンソクも出演していたとは驚きでした。
現代をイ・ジヌク、1983年をチョ・ジョンソクが演じていますが、2015年の事件解決に走り回る刑事と過去を変えるために奮闘する音楽教師にはお互いを尊敬しているように思えます。
しかし、焼けた講堂を守ったり、多くの死ぬ運命の生徒を助けたりと、どこかでタイムパラドックスが生じているのに、それは無視してやりきる潔さもいいです。
死ぬはずの人間が生きていると言えば、完全にホラー要素でしかありえませんが、生徒たちは元気よく学生生活を謳歌していて、もうパラレルワールドですか?!というくらい時間の乱れは無視しています。
なので、この作品を観賞するに当たっては、タイムパラドックスは無視してください。
そうしないと余計なことを考えてしまい、楽しめません。
ソウンの死から過去を変える
現代でもユンジョンと同じ顔をしたソウンも亡くなってしまいます。
ソウンを救おうとしたゴヌの上司である班長の判断ミスで誤って彼女を死に至らしめてしまったのです。
班長は昔ジファンの教え子の不良生徒でした。
過去でユンジョンを救えずに、消えてしまったジファンの為に現代ではソウンを助けようとしたのですが、ゴヌの目の前で車に轢かれてしまいます。
泣きながら班長は過去で自分を殺してくれとゴヌにすがりつきます。
しかし、ジファンは彼を殺しはせず、ユンジョンや他の女生徒の殺害や火事を起こした犯人が同僚の教師であり、生徒を守るために戦うことを選びました。
未来でこの日落雷があることを知っていたジファンは、犯人もろとも雷に打たれて亡くなってしまいます。
ジファンは悲しい結末を迎えてしまいましたが、これは彼の本望だったのでははないかと思ってしまいました。
愛する女性を亡くして、それでも未来を通して生徒が亡くなることを防ぐために力を注いだ彼は、最期まで生徒を守りきり、満足だったのではないでしょうか?!
生徒を救った後のジファンには希望が残されていたとは思えません。
ある意味自殺だったのではないかと思えてしまいます。
2015年にも変化が・・・
過去の事件がジファンの手で終結され、2015年にも変化が訪れます。
ゴヌが出勤すると自分の居場所がありません。
ゴヌは警察官でなく、教師になっていたのです。
ソウンも無事に生きていて、同じ学校で結婚の約束を交わす教師同士です。
32年前に亡くなったジファンとユンジョンの生まれ変わりなのではないでしょうか?
32年前に失われた「幸せになる」という現実がやっと実ります━━ゴヌとソウンとして。
ゴヌとジファンが互いの夢を見たことも、事故による偶然ではなく、生まれ変わりという必然だったのだと思います。
『時間離脱者』まとめ
なかなか説明が難しい作品で面白さが伝わらないかと思いますが、すごく楽しめる作品です。
チョ・ジョンソクの出演作品にハズレがないと思ってしまいます。
ジファンの髪型が32年前ということで、ダサいのですが、それもまた彼の容貌に似合っていて、楽しめます。
3人の愛情が交錯するけれど、実は2人の男性は見た目は違っても同じ人物だと確信しています。
何故なら、32年前からの事実を憶えているのは、唯一ゴヌだけです。
2015年の他の皆は誰も元の2015年のことを憶えていません。
彼だけが真実を知ったまま、1人胸の内に秘めて生きていくのです。
時間を超えたゴヌとジファンという1人の男性の物語を是非観ていただけたらと思います。
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