2013年復讐三部作として『復活』『魔王』に続く最終章として放送された本作『サメ~愛の黙示録~』。
主演は除隊後3年ぶりのドラマ復帰となるキム・ナムギルと『個人の趣向』から3年ぶりのドラマ出演のソン・イェジン。
片方だけでも十分な実力と話題性のある2人が主演したことにより、期待した視聴者も多かったことでしょう。
12年前の初恋からのすれ違いから再び出逢った2人の辿り着く先は、愛を求めた故に目覚めた救済なのか、それとも復讐の末の醜い人間模様なのか・・。
愛とは何か、復讐という執念がいかに人間を変えてしまうかを考えさせられます。
日本の美しい沖縄の海を一望する風景や、韓国各地の美しい自然美など大規模なロケを敢行しただけにドラマの撮影現場での景色は復讐劇と相まって胸を締め付けます。
そんな風景と共に物語の進行と共に流れるBOAの歌う「天国と地獄の間」がますます気持ちを切なく昂らせてくれます。
(画像はhttps://m.blog.naver.com/より引用)
『サメ~愛の黙示録~』あらすじ
両親の不仲に傷ついていた高校生のチョ・ヘウはチョ家の運転手の息子ハン・イスと知り合い、心を通わせる。そんな中、ヘウの父ウィソンがひき逃げ事故を起こし、イスの父ヨンマンがその身代わりとなって自首することに。だが、その彼が何者かに殺される。その真相を探るイスも事故に遭い、死亡したと見なされ…。
12年後、ヘウと、高校時代から彼女を支えたジュニョンとの結婚式の日。彼女は式場に現れた見知らぬ男が気にかかる。それは、日本人ヨシムラ・ジュンと名前を変えたイスだった。彼は父の無念を晴らすために、ある計画を押し進めていた…。公式ページより引用
『サメ~愛の黙示録~』見どころ
豪邸に住み込みの運転手として雇われた父親のために高校生のハン・イス(ヨン・ジュンソク)は妹と共に引っ越してきます。
その豪邸の娘が同級生のチョ・ヘウ(キョン・スジン)でした。
ヘウはカヤホテルという大企業の一人娘ですが、父親の浮気や母の家出など複雑な家庭環境故に誰からも心を閉ざし、学校では不真面目な態度を取り勉強などは一切しませんが、正義感の強い少女です。
優しく賢いイスはヘウの言動に翻弄されながらも、大人に対して頑ななヘウの気持ちを理解してあげ、接していくうちに2人は仲良くなり、お互いに初恋の相手となります。
サメが好きな少年のイスは浮き袋を持たず眠る間も泳ぎ続けないと死んでしまうのに、海の覇者となったサメの存在を「かわいそう」と言います。
皆から恐れられる海の中での頂点に立ったこのサメに孤独を感じて自分の身を投射していたのではないでしょうか。
孤独なのはヘウも同じでした。
イスはヘウが消えたら絶対に見つけ出すと約束します。
そんな中でヘウの前から突如として姿を消したのはイスでした。
大型のダンプトラックがイスのいる電話ボックスに衝突して、電話ボックスは粉々に砕け散り、イスの体は遺体も残さずにこの世から姿を消してしまったのです。
結婚式の日に
イスの事故と失踪から12年。
ヘウ(ソン・イェジン)はイスの生存を諦めきれず、事件の真相を解くべく検事となりますが、依然としてイスの情報は一切得られず、世間から死亡したものと思われています。
12年経ってやっとイスという初恋の呪縛から解放されたヘウは、高校の先輩でもあり、父ウィソン(キム・ギュチョル)の運営するカヤホテルの戦略企画部長のオ・ジュニョン(ハ・ソクジン)と幸せな結婚式を挙げます。
そんな時にホテルの宿泊客として結婚式を見つめるのはヨシムラジュンこと韓国名キム・ジュン(キム・ナムギル)でした。
ジュンは日本育ちで日本で大手リゾートホテルを展開するヨシムラ会長(イ・ジェグ)の代理として久しぶりに韓国を訪れて韓国でホテル事業を開始するつもりでした。
披露宴を抜け出してジュンと出会ったヘウは彼と話すうちに、話の内容から嫌でもイスを想い出してしまいます。
それもそのはず、ジュンは事故に遭ってヨシムラ会長に助けられ、12年もの間自分をこのような目に合わせ、父を殺した相手に復讐をするために韓国へ戻ってきたイスだったのです。
ジャイアントホテルを韓国でオープンさせるためだけではなく、12年の長きにわたって胸の奥で湧いていた憎しみに終止符を打つべく、自分の運命を地獄に変えた相手に復讐を誓っていたのです。
偶然にも初恋の相手同士が女性側の結婚式の日に出くわしてしまうという、残酷な運命の出会いですが、これは悲劇の序章でしかありませんでした。
12年前と繋がる殺人事件
幸せな結婚式を終えて新婚旅行に行くはずだったヘウの許に殺人事件の話が舞い込みます。
刑事課の検事として仕事のために新婚旅行を見送りにして殺人事件現場に向かうヘウはこの殺人が12年前のイスの父親が亡くなった事件とイスの失踪に関わりがあることに気付きます。
12年経ってやっとイスへの想いを断ち切って、ジュニョンと幸せな結婚生活が始まる筈だったヘウに、まさか今になってのタイミングでイスへの事件への手掛かりが巡ってきたのです。
次々に起きる12年前の出来事に繋がる殺人事件の発生で、ヘウはもう一度イスが生きているのだと確信します。
この殺人事件がイスが起こしているものだとすればイスを止めなくてはという義憤に駆られます。
そしてイスがジュンではないかと疑っていくヘウ。
ヨシムラ会長が祖父の古くからの友人で、ジュンをチョ家の別荘に招待したお礼に沖縄のジャイアントホテルへとジュニョンとヘウを招待します。
殺人事件の捜査で忙しいヘウは沖縄行を断りますが、そのタイミングでヘウへ一通のメールが届きます。
殺人事件と関係があるようですが、一軒の家の写ったメールの写真が沖縄に実在する民家と知ったヘウは急遽一旦は断った沖縄への招待を受けることにします。
一通のメール写真の真相を突き止めるために。
沖縄で写真の民家を見つけ、その家に住む韓国人の老人から12年前に18歳くらいの韓国人の少年が数日この家にいたことを教わり、やはりイスは生きていたと確信するヘウ。
その少年には事故の痕はなく、左肩を痛がっていただけという老人の発言に本当にイスだったのかと心が揺らぎます。
少年は一言も喋ることなく、家事や畑仕事を手伝って、来たときのように忽然と姿を消してしまったのです。
彼がその家に残した木彫りのサメのネックレスを渡されると、その少年がイスだったという確信は揺るぎないものになります。
民家の壁にイスが書き残した大きな円は殺人現場に残された円と同じものでした。
ヘウはその事実と向かい合うことで、殺人事件にイスが関係していることを知るとイスが生きていたことを素直に喜べず、心の中が千々に乱れます。
ジュンの姿を見てイスと勘違いしたヘウは心があまりにも複雑な整理のつかない感情にのまれて倒れてしまいます。
地獄の底からでも救ってみせる
完全にジュンのことをイスだと確信したヘウはイスの復讐を止めようとします。
昔の優しく賢かったイスなら自分の言うことを聞いてくれるのではないかとかすかな望みを託して・・。
しかし、意に反してイスは「止めるなら地獄の底まで来なければ止められない」と冷酷な表情で言い放ちます。
その言葉に今までイスがどれだけ苦しんできたのかを悟ったヘウは涙ながらに「地獄の底からでもあなたを救ってみせる」と言い放ちます。
ヘウは復讐に燃えるイスを救うことができるのでしょうか。
『サメ~愛の黙示録~』感想
この『サメ~愛の黙示録~』でキム・ナムギルは除隊後初のドラマとして主演を務めましたが、前作『赤と黒』も復讐劇として悪い男を演じています。
前作とは違い、今回のキム・ナムギルの復讐劇は復讐を目的にしながらもどこか昔の優しさを隠しきれない哀愁が漂っています。
全体を通していつもキム・ナムギルの瞳が濡れているように見えるのは、彼の視力が悪いという理由だけではなく、復讐以外にも心が痛んでいるというように見せる演技になったのだと思います。
毎回役柄により全く別の人物を演じられる実力の持ち主ですから、彼の瞳を見ているだけで物凄く切なくなります。
毎回ドラマのアクションシーンでは怪我をしてしまうキム・ナムギルですが、『サメ~愛の黙示録~』でもアクションシーンで肋骨にひびが入ってしまい、視聴者から心配されました。
鎮痛剤を打って撮影を続行した模様ですが、彼の渾身のアクションシーンも見ものです。
高身長から繰り広げられる足蹴りはキム・ナムギルの足の長さとスタイルの良さを存分に堪能することができます。
毎回アクションシーンの度にリアルを追及して代役を使わずに挑んでいる役者としての姿勢は立派ですが、体には気を付けて欲しいと思います。
また、ヘウの子役時代を演じたキョン・スジンがソン・イェジンと似ているとも話題になりました。
老け顔の子役だなとは思っていましたが、それもそのはず、子役で登場してはいるもののキョン・スジンはこの時デビュー翌年の26歳です。
イス役のヨン・ジョンソクが18歳なのに普通に高校生カップルに見えたのは彼の身長が高いことと子役から活躍する実力を持つ韓国の役者としての腕の見せどころではないでしょうか。
重いシーンばかりが続くイスとヘウの幼少期をこの子役たちの活躍と演技力は見逃せません。
今をときめく役者たちの共演
高校時代の先輩でヘウに惚れ込んで結婚した夫役を『1%の奇跡』『私の彼はエプロン男子』で日本でも人気を博し、日本人ファンも多いハ・ソクジンが演じています。
12年前に突如いなくなったイスを心配しながらも、彼自身も弟を事故で轢き殺されたという悲しい過去を背負っていますが、今ではカヤホテルではヘウの父親以上に実力を持つ野心家です。
笑顔の裏では自分が一番だといつも考え、ウィソンに従うものの心は全く開いていません。
そんな彼が唯一心を開けるのは愛する妻のヘウだけです。
ジュンがイスではないかと嫉妬心に燃えながらも、自分の妻を信じるという難しい役柄を演じています。
自信と嫉妬の裏には12年の間ヘウを見守っていたからこそ、ヘウがまだイスを完全に忘れられていないわだかまりが熾火のように彼を孤独に追いやり、苦しめます。
2人の夫婦の行方は再び現れたイスによってどのような結末を迎えるのか、ハラハラドキドキが止まりません。
ヘウの務める検察の有能なキム・スヒョン係長として登場するのは『夜を歩く士』で吸血鬼役が激ハマリしたモデル出身のイ・スヒョクです。
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彼はヘウの事務所の係長としての顔とイスの友人としてキム・ジュンを影で支えるという大事な役目を追っていました。
いつも影からイスのために動き、行動する姿からはイスから受けた恩返しのためですが、次第に12年前の真実が明らかにっていくにつれて、2人の関係はぎくしゃくしてしまいます。
真実が追及される時、2人の友情は壊れてしまうのか、それとも年月をかけて育んだ2人の仲は元に戻るのでしょうか?!
イスの妹ハン・イヒョンには『太陽を抱く月』で主人公の妹役を演じて好評を得たナム・ボラが扮しています。
幼い頃に父親と兄を亡くしても育ての親から愛されて育ったことがわかるくらい無邪気で優しく素直に育っています。
兄イスが星が好きだったことから天文の道を大学で勉強していますが、今は休学してジューススタンドでアルバイトをしています。
そんなイヒョンに好意を寄せているのはスヒョクですが、イヒョンは「おじさん扱い」して全く取り付く島がありません。
イヒョンの様子が気になり度々ジュースを買いに行くイスですが、年上の友達としてイヒョンに接していきます。
ランチに誘ったイスがイヒョンに美味しいパスタを食べさせてあげようとパスタを注文するとイヒョンと諍いが起こってしまいます。
イヒョンはヘウが作ったパスタを食べていた時に兄が死んでしまったことを忘れられず、12年前からパスタが食べられなくなっていたのです。
自分だけのうのうとパスタを食べていた時に兄が苦しんでいたという罪悪感を未だに消し去ることができませんでした。
この時のイヒョンの涙とイスの言葉が出ない複雑な表情がとても胸に迫りました。
後にキム・ジュンがイスだと分かった時にパスタを食べようとして「お兄ちゃんがいるから平気」と笑顔で答えた時には、幼い心に凄惨な傷を作ったイスを殺そうとした犯人が憎くてたまりませんでした。
イヒョンは気丈で優しく素直に育っていましたが、最後までこの無邪気な少女にも過酷な運命が待っています。
ジュンの秘書としてヨンヒ役を演じているのはミス・コリアに輝き、ミスユニバースでも4位と言う好成績の結果を収めた美貌のイ・ハニです。
日本語も話せるバイリンガルとしてヨシムラ会長に認められたほどの才色兼備の持ち主ですが、ジュンの秘書をしながらもヨシムラ会長の駒としてジュンの動向を見張り続ける役回りです。
今年(2019年)にキム・ナムギルとは『熱血司祭』で6年ぶりに共演し、このドラマは最近地上波ドラマが不人気なのにも拘わらず、20%を超える視聴率をマークし、SBSでもドラマの成功に沸きました。
キム・ナムギルとイ・ハニのケミは人気になりましたが、原点と言えるドラマが『サメ』ではないでしょうか。
復讐劇という重いテーマの物語をコミカルに払拭してくれたのが、ヘウとイスの同級生でイスから運転手として雇われたキム・ドンス役のイ・シオンです。
彼が得意の個性が光るコミカルなキャラクターが所々で笑いを与えてくれます。
ヘウが初恋だったとヘウの結婚式で泣いたのに、ジュンの秘書のヨンヒに片想いして手酷く振られたり、ジュンを同性愛者と勘違いしたりと、彼の出る場面は笑いに溢れています。
ただ、皆がキム・ジュンをイスと知っていたのに、唯一気付けなかったかつての親友という悲しい役回りでもありましたが、それがドンスらしくて最後まで彼は変わらずに彼のままなのが好感が持てました。
2人の男性に揺れるヘウ
検事として事件を追いながらもイスの心配で胸がいっぱいなヘウ。
立派なジュニョンという夫がいながらも、いつしかイスへと気持ちは彷徨います。
イケメン2人とのラブシーンには、ソン・イェジンが羨ましくて仕方ありませんでした。
ヘウが本当に愛して見つめるのは夫のジュニョンなのか初恋のイスなのか・・。
最後まで愛の結末はわかりません。
父の正体と復讐相手の真実
復讐相手の真相に近付いていくとイスは亡くなった自分の父の知らない一面を目の当たりにします。
自分とイヒョンに優しく、真面目に働いていた父親が実はその昔は「影」と呼ばれる受刑者から恐れられた刑務官だったのです。
父のせいで苦しんだ人々はあまりにも多く、イスは復讐以前に自分の父の犯した贖罪を考え、ますます地獄の苦しみを味わいます。
そんなイスの苦しみを嘲笑うのはヘウの祖父チョ・サングク(イ・ジョンギル)でした。
革命家の息子として人々から慕われ、尊崇されてきたサングクの真実は虚偽であり、サングクを殺して入れ替わった悪人チョン・ヨンボでした。
すべての悪はヨンボに繋がっていたのです。
悪人ヨンボは結局捕まり収監されますが、今まで人々を動かしてきた人脈は衰えていません。
イスの復讐には報復で対抗して勝ち抜き、最後までしぶとく生き残ります。
ずっと優しいおじいさんでヘウとイヒョンに接してきて、息子のウィソンにだけは厳しく接する善と悪を完全に理解している人格者だと思っていただけにこの真相はショックでした。
真相がわかると人格者の仮面を外したように悪人になるので、本当に恐怖を感じ得ませんでした。
『サメ~愛の黙示録~』まとめ
日本でヨシムラ会長から手を貸してもらいながら事故のために姿形も変わってしまったイスが12年もの間、貴重な青春時代を復讐のためにすべて費やしてしまうなんて気の毒すぎます。
そして12年も費やした復讐なのにいとも簡単にイスの正体がバレてしまうのはちょっと拍子抜けしてしまいましたが、誰よりも安心したのはイス本人だったのではないでしょうか?!
もともと優しいイスですから、大好きな人々に他人だと偽って生きていくことはさぞかし辛かったことでしょう。
自分自身も復讐という名前の鎧で心を閉ざして本心を偽っていたのに、他人まで騙すなんて優しいイスにはとうてい不可能だったのだと思います。
それが暴走するヘウへの愛情表現と共に解放されていったのだと思います。
死んだと思わせたままなら復讐は簡単に済んだのでしょうが、そこに愛情があったからこそ自分の本当の正体を知って貰いたいと思うようになったとしか考えられませんでした。
誰ひとり信じられる者がいない寂しさと、地獄まで落ちたような絶望と苦しみを味わったイスの孤独感は普通の人間には耐えられなかったかと思います。
そんな時初恋の相手がまだ自分を探していると知ってしまえば、恋しくなるのは必然です。
イヒョンが最終的に肝臓移植手術が必要な病気だと判明し、イスは手術前夜にヘウに電話します。
今でなければ言えない話の気がするとイスが言えば、私もと言うヘウは会うことにしますが、2人が出会う前にイスはヨンボの残した刺客の凶弾に倒れてしまいます。
慌てて駆け付けるヘウですが、イスは譫言のように「死んじゃダメなのに・・イヒョンのために・・死んじゃダメなのに」とずっと言いながら意識は途絶えます。
イスは意識はないものの奇跡的に即死を免れ、イヒョンへの臓器提供手術をします。
手術の間ひたすら祈りながら待つヘウと、時間の経過を知らせる時計に映る陰影が変わり、止っていた時計が針を動かしだした瞬間、イスの死が否が応にも感じられました。
すべては終わったのだと。
孤独な復讐から始まった再会は愛や救済ではなく、死という自由をイスに与えたのだと思います。
イヒョンに自分の臓器を提供するための気力だけで生き、全うした段階で死を受け入れたイスはやっとなんのしがらみもない自由を手に入れたのです。
だからヘウはイスが沖縄の民家に置いて行ったサメのペンダントに「もうあなたには浮き袋があるから自由に泳げるわ」と言い聞かせ、海へ流したのだと思います。
イスが撃たれる前にヘウに何を言いたかったのかとても気になりましたが、復讐するとは言いながらも、誰かを強く憎むことは物凄く体力も気力もいります。
父の犯した罪、自分の犯した罪への贖罪を生きていればずっと心に抱えて地獄のような日々を生きなくてはならなかったように感じてしまいます。
哀しい最後ですが、これが一番の正しい終わり方のように思いました。
愛するヘウの腕の中で倒れて、ヘウに心配されながら復讐からも孤独からも解放され、サメのように生きるために泳ぎ続けることもなく何の枷もない世界に旅立つことができたのです。
もう何も苦しんだり心配することはありません。
イスの魂が安寧を感じてくれたらと思います。
復讐なんて良い結果に終わる筈がありません。
誰かを憎んでもいいとは思いますが、誰かを陥れようとしたりすれば自分に回りまわって返ってきます。
許す気持ちが一番大事なのだと感じました。
最後までイスを許さなかったヨンボにはどんな人生の終わりが待っているのでしょうか。
きっと死んでも死にきれない最期を迎えるのだと思います。
そんな人生の最期は絶対に嫌ですよね。
イスは最後に自分の死という形で人を憎むのではなく、愛することが正しいことだと教えてくれたように感じました。