除隊後3年ぶりのドラマ復帰となった演技派俳優チョ・ダニエルと『いとしのクム・サウォル』『ミッシングナイン』など視聴率を牽引する女優ペク・ジニの奏でるラブコメです。
放送開始と共に視聴率はぐんぐん上昇し、同時間帯視聴率1位、日本では2018年に放送・レンタル開始されるとオフィス・ラブコメディとして一気に人気が高まりました。
心を氷のように閉ざした常務と、完璧な秘書として彼に認めてもらうために奮闘する女性との関係性から、彼の心を溶かしたラブロマンスとのツンデレギャップがたまらないオフィス・ラブコメディです。
完璧な秘書であるヒロインはボールをジャグリングする絵画を見た瞬間から自分たちのようだと、秘書業務を「ジャグラス」と名付けます。
体は一つ、腕も二本しかないのにそれ以上のやるべきこと・なすべきことが秘書という立場の企業人を翻弄します。
今日もまたオフィス街を走り回る女性たちにジャグリングのボールの如く、多くの業務が降り注ぐのです。
(画像はhttps://www.ytn.co.kr/_ln/0117_201711281226598871より引用)
『ジャグラス~氷のボスに恋の魔法を~』あらすじ
YBグループの常務秘書ユニは、いかなる時も上司の指令を優先。その仕事熱心さのせいで彼氏にも振られてしまう。ある日仕事中に車と接触したユニだったが、急ぐあまり、病院へ行こうと言う相手を突き放してその場を去る。その後、上司と不倫していると誤解されて会社から謹慎を言い渡されてしまったユニ。そんな中、ついに復職が許されるが、新しいボスはなんとあの事故の相手チウォンだった! 秘書など要らないとユニを突き放すチウォンの鉄壁を崩すべく、献身的に働くユニだったが・・・。そんな折、ユニの住んでいる家の2階になぜかチウォンが引っ越してきて!?
公式ページより引用
『ジャグラス~氷のボスに恋の魔法を~』見どころ
大手企業YB本社企画部のポン常務の秘書として勤務するチョ・ユニ(ペク・ジニ)は完璧として呼び声の高い秘書です。
この大手企業オフィスが乱立するオフィス街には朝7時前という早朝から自分たちのボスを補佐すべく秘書たちが互いにしのぎを削り合っています。
ユニもその中の1人で、浮気性の常務のために朝からずっと走り回り、自分のこともそっちのけで常務がいかに快適に仕事をさせるかに心を砕いています。
男性とデートしていても常務とその妻からの電話攻めに呆れた学芸員の彼氏から見放され、20代最後の夜も1人で過ごすという悲劇を味わいますが、それでもボスが一番です。
秘書がいてこそのボスと信じてプライベートさえも犠牲にしていますが、ポン常務の妻から不倫の疑いをかけられてある日どん底に落ちてしまいます。
新しいボスは氷の王様
常務との不倫の噂を妻に騒がれて無実の罪を着せられたユニは自宅謹慎を命じられますが、待てど暮らせどユニに新しい辞令は下されず、飼い殺し状態です。
そこへ目を付けたのが友人ボナ(チャ・ジュヨン)が秘書として仕えている広告企画部のチョ・サンム(イン・ギョジン)専務です。
チョ専務は若くしてなんでも社内で一番にならなくては気が済まない野心家で、秘書のことをお茶汲み係としか思わない非人間的な感情の持ち主です。
彼の頭を悩ませるのが縁故で副社長から出社を命じられた元ジャーナリストの映像事業部専務として現れたナム・チュウォン(チェ・ダニエル)です。
誰も彼がどんな人物かわからずにやきもきしている時に、自宅待機を命じられた完璧な秘書であるユニを会社復帰させてナム常務の秘書に就かせる代わりに、ナム常務の情報を掴むスパイになれと脅します。
嬉々としてユニは秘書として復帰しますが、彼女を待っていた上司は固く冷たい氷に心を閉ざした常務でした。
自分のことは自分でできる、秘書は必要ない、がモットーのこちらも完璧な個人プレーが得意な常務でした。
完璧な秘書としてユニはあの手この手を尽くしますが、氷に閉ざされたボスの心はずっとツンドラ気候のままです。
しかも前の上司の妻との不倫騒動の修羅場も目撃されているというユニからすれば一番見られたくない場面を目撃した人物ですが、弁解しようにも自分には関係ないと話も聞かず自分の殻に閉じこもり、他人に興味を一切抱きません。
まるで「アナと雪の女王」のエルサそのもので自分の仕事部屋への立ち入りも許しません。
自分のことは自分で管理し、秘書もいらない孤独なナム常務ですが、ある日急にユニと急接近します。
ユニの母親が男っ気のない娘を心配してユニの暮らす一戸建ての二階部分を賃貸に出したのです。
そこを希望して越してきたのが━━ラブコメではお決まりの展開ですが、ナム常務でした。
会社では常務と(必要とされない)秘書の関係ですが、家では大家と間借り人として立場が逆になるというお決まりの展開が発生します。
同じ家の一階と二階ですが一つ屋根の下で暮らしていくうちに2人の関係は変化し、会社でもいつのまにか常務には秘書がいることが当たり前の環境に変わって行きます。
氷の王様が中盤で秘書に対して恋という魔法にかかり、早くも頑なだった心が氷解していきますが、2人の関係は上司と秘書という「恋愛」に関してはご法度の前途多難な道のりが待ち受けています。
2人がそんな関係ですから、チョ専務のスパイ話をユニは断ってしまいます。
そのため、自分の意のままにならなかったユニとナム常務への攻撃をチョ専務は開始するのです。
問題児のファンボ理事
自分勝手で子供のようなファンボ・ユル(イ・ウォングン)理事はその無茶ぶりの我儘さで今まで88人の秘書の交代があったという問題児です。
会長の孫という立場だけで若くして理事となったユルの出社時間はたいてい昼前で、仕事ではなく昼ご飯を食べるために出社していると本人も認めるほど責任感がありません。
そんなスポーツ事業部の問題児の秘書としてユニに誘われたのが、働いた経験のない主婦のワン・ジョンエ(カン・へジョン)です。
ジョンエは経験のなさから海外でキャリアを磨く妹のワン・ミエの身分を名乗り、ファンボ理事の秘書として活躍を始めますが、働いたことのないジョンエにはすべてが初めての経験で、同じ部署の女性からは秘書も問題児だと馬鹿にされる始末です。
自分を捨てた夫のために息子と2人で生活するにはどうしてもジョンエが働かなくてはならなかったのです。
専業主婦をしていて家事の腕前は確かなものの、機械関係に全く弱く、会社員としての常識の欠如したジョンエも彼女なりに秘書として努力して成長していき、マイペースで仕事に責任感のないユルを自分の興味がわく事業へと熱心に情熱を注ぐように変えていきます。
予想外の爆弾が・・
2人で正月を一緒に迎えたり、ユニの30歳の誕生日を一緒に過ごしたりと順調な恋愛をする2人にも暗雲が立ち込めます。
ジョンエの身元詐称がバレてユルが人間不信になったり、ナム常務とユニの同棲写真が社内の匿名サイトに投稿され、あわやまたもや不倫としてユニが自宅謹慎を余儀なくされかかったりと予想外の爆弾が色々な所で爆発しだします。
ナム常務とユニの関係が露呈したため、また最初のボスだった秘書課専務に昇進したポンの秘書となるしかなかったユニ。
また最初の頃のように女性関係の始末に忙殺され、専務やその夫人からの度々の着信が再開します。
愛するチウォンの許に帰りたい一心のユニは、以前のようにのうのうとポン専務に尽くすわけではありません。
映像事業部を吊し上げて統廃合に持ち込もうとしている統廃合責任者となったポン専務に静かに反旗を翻します。
今まで代々の秘書を悩ませていた女性関係を夫人に暴露するつもりで夫人と対面しますが、彼女はすべてを知っていていつか夫から慰謝料をがっぽりふんだくるつもりでした。
利害関係が一致し、ポン専務を女性関係のスキャンダルで追い込んだ筈が、次に統廃合責任者となり、副社長に決まったのはチョ専務でした。
チョ専務はチウォンとユニを潰そうと2人が一緒に仕事ができないように、秘書だったユニを系列デパートのお客様対応係に左遷し、こんどこそチウォンを追い払おうと映像事業部を潰しにかかります。
チウォンを先頭に映像事業部の社員たちはチョ専務の作戦を成功させないために一丸となってチョ専務の足許を崩そうとこちらも周到な作戦を練ります。
もちろん、そこにはユニの存在があってこそ解決できる問題もあり、ユニなくしてはチウォンも映像事業部も存在が脅かされる状況になって行きます。
チウォンと一緒にいなくても、ユニは愛情で深く支える立派な常務の秘書として成功者となっていたのです。
『ジャグラス~氷のボスに恋の魔法を~』キャスト相関図
『ジャグラス~氷のボスに恋の魔法を~』感想
『ジャグラス~氷のボスに恋の魔法を~』は従来のオフィスドラマと同様に、何もできない社員が一念発起して嫌な上司を懲らしめる、働く人々からは爽快なドラマです。
その中に強いラブコメ要素を入れて、女性のハートを鷲掴みにしました。
最初は氷のようだったボスがユニのおかげでどんどん変わって行き、ツンデレになり、メロメロになる場面からはこちらもドキドキが止まりません。
半ばからかなりイチャイチャしだして『コーヒープリンス1号店』もこんな感じだったと思い出してしまいました。
3人の秘書と元秘書がカッコいい
何と言ってもオープニングのこのシーンの女性4人がカッコ良すぎます。
特に一番右のギョンネ役で元秘書で現在はYB社内のカフェオーナー役のチョン・ヘインが若手K-POP男性のように男前すぎますが、なんと『ヒーラー~最高の恋人~』でヒロインの母親の若い時の役もしていたという、髪型だけで少女のようにも少年のようにもなるマルチな美貌に惚れ込んでしまいます。
性格も竹を割ったようにサバサバしていて、他の3人の女性たちを今は違う仕事をしている立場から冷静に判断できるという、姐御と呼びたい素敵さです。
チョン・ヘインの見た目も性格も男前なキャラクターがあるおかげでユニ・ジョンエ・ボラという3人の女性秘書たちのドロドロが解消される毒消しのような存在であり、自ら元秘書だっただけに彼女たちの気持ちも十分理解して汲める人情味の篤い存在感がたまりません。
職場でも家でも離れ離れに
チウォンとユニの同棲が広まり、同時にユニの母親からも2人の交際を反対され、チウォンはユニの家から退去します。
そして次のすみかはなんと、ユルの豪華な理事長宅でした。
この時の引っ越し先の2人のやりとりがものすごく笑えます。
さみしがり屋で幼児性のあるユルは絶対にペアルックを譲らず、2人で同じジャージを着て同居し、仲良さをアピールするブロマンスはとにかく笑えます。
兄弟のように同じジャージを着て一緒にビールを飲んだり、片方はゲームにふけり、片方はキレイ好きを発揮して掃除をしたり、最終的には膝枕をしてもらったりと、もうユニはいらないというようなラブラブシーンが続きます。
孤独で氷のように何物をも近付けなかったチウォンが、生まれついての甘えたがりのお坊ちゃまと共同生活なんて、ユニと出会わなければ絶対になしえなかったことでしょう。
すべてチウォンの性格を変えたのは、出会って愛してしまった1人の秘書のおかげです。
「屁理屈さん」と「タヌキ」
チウォンとユニは2人だけのニックネームを「屁理屈さん」と「タヌキ」と決めていました。
屁理屈はユニから見てチウォンが「屁理屈」を言うから、タヌキはチウォンにはユニの顔が「タヌキ」に似ていると思うから。
確かにユニのおかげでチウォンは変わって行ったとはいえ、人間の本質はそうそう簡単には変わりませんから、ユニからすればチウォンはまだまだ素直になれていない、融通の利かない屁理屈に見えるのでしょう。
私からすると衝撃だったのは、ユニが「タヌキ」に似ていると言われることでした。
韓国人女性の顔には日本人に多い「タヌキ顔」がいないとずっと思っていのです。
私自身もタヌキ顔なのですが、韓国人は美人は「猫っぽい顔」が多いけど、タヌキ顔がいないとずっと思っていたのですが、まさかの可愛いペク・ジニを捕まえて「タヌキ」と言うとは予想もしていませんでした。
タヌキ、タヌキと言われ続けるとペク・ジニがタヌキっぽく見えてくるので不思議な感覚になりました。
日本人では当たり前の「タヌキ顔」が韓国の可愛い女性の修飾語となるのはなかなか新鮮でした。
今から韓国でも「タヌキ顔」が流行りだしたら面白いですね。
『ジャグラス~氷のボスに恋の魔法を~』まとめ
『ジャグラス~氷のボスに恋の魔法を~』で一番注目してもらいたいのは、最初と中盤に出てくる2人のカメオです。
最初に学芸員として「ジャグラス」の絵の解説をして、ユニといい関係に発展するも、彼女の秘書業務の電話の多さから逃げ出す役をイケメン俳優ソンフンが監督との縁で特別出演として演じています。
ドラマ中盤では「マッド・ドッグ」の役名と会社名をそのまま使ってユ・ジテが、保険調査員として失踪した夫の保険金調査について説明するためにジョンエの前に現れます。
ジョンエ役のカン・へジョンとユ・ジテは『オールドボーイ』以来の久々の共演とあり、互いに励まし合いながら温かい雰囲気を醸し出したようで、本来の保険調査員とその家族という役柄とは程遠い親しみを現場では見せてくれたようです。
2人とも出番こそそんなに多くはないものの、流石に大物俳優だけに存在感が凄かったです。
最終的に、ラブコメらしくすべてはハッピーエンドで終わりますが、やっぱりチウォンとユニの2人の愛情が胸にじわじわと沁みていきます。
チェ・ダニエルの演じるチウォンのツンデレと多少垢抜けない表情や行動がさらにあどけない恋愛を盛り上げていったように思います。
すべては完璧な秘書のユニのおかげだったでしょうが、彼女とのこれからの人生が楽しみでなりません。
そして2人を見守るお揃いのタヌキのぬいぐるみがますます将来の幸せを約束してくれるように思いました。
・・ただ、タヌキよりもアライグマに見えて仕方なかったのですが。
最初から最後までドキドキハラハラが止まらない最高のオフィスラブコメディだと思います。