『犬とオオカミの時間』『もう一度ハッピーエンディング』の視聴率を牽引する俳優チョン・ギョンホと『検事プリンセス』『TWO WEEKS』の実力派女優キム・ソヨン、そして『ビューティフル・マインド』『魔女の法廷』で活躍の目覚しい元プロ野球選手という異色の経歴を持つユン・ヒョンミンで贈るヒーリングラブロマンスです。
2015年に放送されたドラマでは視聴者から最高評価を受けた話題性抜群のドラマとなりました。
『お嬢様をお願い!』『ビッグマン』というヒットドラマを手掛けたチ・ヨンスが演出を手掛け、韓国のネットユーザーから「本当の幸せについて考えさせられるドラマ」として星取り評価で全員がほぼ星5をつけ、10点満点中9.8点をマークした「国民に共感を与えた」ドラマです。
(画像はhttp://tv.jtbc.joins.com/soonjung/より引用)
『純情に惚れる』あらすじ
冷徹な企業ハンターとして知られるミノは、叔父が会長を務める大手化粧品会社ヘルミアグループに乗り込んでくる。ミノは亡き父から会社を奪った叔父への復讐を胸に秘めていた。だが、心臓に疾患のあるミノは着任早々倒れ、会長秘書スンジョンによって病院へ運ばれる。その頃、スンジョンの婚約者で刑事のドンウクは、ヘルミアの不正事件を幼なじみのジュニが主導していたことを知って自首を勧めた直後、ひき逃げされて命を落としてしまう。ドンウクの心臓はドナーを探していたミノに移植される。術後、以前とは別人のようになったミノはスンジョンが気になり始め、ミノに反感を抱いていたスンジョンはドンウクを思い出させる彼に心を揺さぶられていく。
公式ページより引用
『純情に惚れる』見どころ
タイトルの「純情」は韓国語では「スンジョン」と読みます。
そしてキム・ソヨン演じるヒロインの名前が「キム・スンジョン」です。
つまり、これは「キム・スンジョンに惹かれる男性たち」の物語とそのやり取りです。
スンジョンは大手化粧品会社ヘルミアの秘書としてバリバリのキャリアウーマンですが、芯はそれほど強くありません。
寧ろ優しい心を持った非情にはなりきれない女性です。
そんな彼女を翻弄するのが、原材料問題により窮地に陥ったヘルミアを吸収合併しようとする数字しか興味のない冷血な企業ハンターのカン・ミノ(チョン・ギョンホ)です。
そこにヘルミアの法務担当として幼い頃からスンジョンを見守ってきたイ・ジュニ(ユン・ヒョンミン)も加わり複雑な三角関係が加速します。
ミノがスンジョンに惹かれるのは自分の移植した心臓に原因があるようなのですが・・。
幼馴染との幸せから・・
スンジョンには幼馴染の恋人マ・ドンウク(チン・グ)がいます。
24年間一緒に育ってきた2人の愛情は何者にも邪魔できないほどの強い絆で結ばれています。
そんなドンウクがスンジョンにプロポーズをして、これからすべてが幸せに向かうと誰もが思っていました。
2人と同じように24年間一緒に過ごしてきたジュニや、他の友人たちにドンウクの職場仲間の警察官たちもドンウクのプロポーズを祝福します。
しかし、スンジョンやジュニが勤務するヘルミアでは原材料に不適切な成分が混入していたことが発覚し、大規模な自主回収をしなければならなくなるという非常事態が発生します。
大企業であればこそ、そんな些細なミスが命取りになり、債権回収はおろか企業存続の危機に瀕します。
役員たちはもとより社員も、警察官のドンウクも原材料問題に奔走しますが、そこに目を付けたのが世界最大の金融グループ「ゴールドパートナーズ」の冷血企業ハンターカン・ミノです。
ミノは企業ハンターとして今までの数々の大企業を買収してきた実績の持ち主で、頭の中では数字を弾くことのみでいっぱいで、人間らしさや人情からはかけ離れた存在です。
その上ミノはヘルミアの創業者の息子であり、父を罠に陥れて両親を亡くしたという過去を持ち、現在の会長である叔父のカン・ヒョンチョル(パク・ヨンギュ)に並々ならぬ復讐心を抱いています。
そして、スンジョンの父も昔ミノの父を裏切って副社長の座に就いたのですから、ヘルミアには恨みしかありません。
ヘルミアはこのままミノに買収されてしまうのでしょうか?!
時間のないミノ
強気のミノですが、父親と同じ心臓の疾患を患っていて、余命いくばくもありません。
ミノに残された時間はあまり残っておらず、父の死により父に罪をすべて擦り付けて悲嘆に暮れた母は自殺するという家庭の崩壊を招いたヒョンチョルとヘルミアに復讐を急いでいます。
彼には復讐だけが残された時間に必要だったのです。
そんなミノの弱点を見つけたヘルミアのヒョンチョル会長はゴールド社の企業買収を失敗させるべく、投資家へとこのミノが心臓病であるという事実を知らせます。
そんな時ミノはスンジョンの前で倒れてしまい、緊急入院を余儀なくされる事態へと発展します。
ミノの心臓はもう限界でした。
一方、原材料の異物混入を調べていたドンウクは、裏で事件を操る人物に繋がる直前まで1人で捜査していましたが、車に撥ねられて亡くなってしまいます。
ドンウクの死により彼の心臓がミノの心臓へと移植され、無事に生還を果たすミノですが、今までとは少しずつ別人のような行動を取っていきます。
冷血漢だったミノが温かい人間として変わります。
今まではすべて数字だけしか信じなかったミノが人間を信じていくように変わります。
ジュニの想い
幼馴染としてスンジョンとドンウクと共に育ったジュニは昔からスンジョンが気になっていましたが、なかなか素直にはなれませんでした。
勉強のできる真面目なジュニと無邪気で明るいドンウクとではドンウクの方に軍配が上がり、ただジュニはスンジョンを見ているだけしかできませんでした。
いつしかスンジョンはドンウクの恋人になり、ドンウクがプロポーズのサプライズをするのも手伝っていましたが、いつだってジュニの視線の先にいたのはスンジョンでした。
今こうしてドンウクがいなくなり、立ち直りかけてきたスンジョンを支えるのは自分しかいないと自負しているジュニですが、なんとここでミノという邪魔が入ります。
ドンウクがいなくなった今こそ自分とスンジョンの仲が進む筈だったのに、いつしかミノが自分より先にスンジョンに近付こうとしています。
ミノもスンジョンを見つけるとその隣にいるジュニを見かけては嫉妬に駆られます。
今重大事を迎えている会社の中で理事の立場のミノとジュニがスンジョンを巡っての三角関係へと発展していきます。
初めて自分の素直な気持ちを彼女に見せたジュニと、変わっていく自分に戸惑いを覚えながらも亡き恋人の面影を感じさせるミノ。
スンジョンが選ぶはどちらなのでしょう・・。
変わっていくミノ
自分に移植された心臓のせいでスンジョンが気になって仕方ないミノ。
いつもスンジョンのことばかり考えてしまいます。
それを周りは愛とか恋とかいいますが、とても自分のそんな感情を冷静に受け止められないミノは主治医(オム・ヒョソプ)から医学的な証明はないと言われながらも「私は神を信じる医者ですので」と前置きされて細胞記憶(セルラーメモリー)現象の話を教えてもらいます。
移植された細胞の持ち主の気持ちが移植した人間の性格や感情を左右するというものです。
確かに昔は冷血以外に表現できなかったミノが、今では他人の気持ちを考え、弱き者を守ろうとさえしています。
以前は工場などはすぐ売却して数字という資産に変えてしまうことしか考えていなかったのに、今では工場で働く人々の生活のことを考えているのです。
だんだんと人間らしく変わってきたミノにスンジョンも心を寄せていきます。
どことなくドンウクを彷彿とさせ、ドンウクを知っている人たちからはドンウクに似たところがあると言われ出すミノ。
それは決して移植された心臓のせいだけではなく、彼を守ると誓ったスンジョンの影響も大きかったのでしょう。
最初はスンジョンへの感情を全部移植された心臓のせいにしていたミノは、自分の感情なのか心臓の想いなのか判断できずに悩みます。
そんなミノの気持ちを主治医は「移植された心臓だとしてもそれはもう自分の体なのだから」と自分の感情として受け止めるように促します。
『純情に惚れる』キャスト相関図
『純情に惚れる』感想
最初はミノが本当に鼻持ちならない人間で、出てくるたびに嫌気がさしました。
移植手術をしてからの変わりようは、チョン・ギョンホの演技の賜物でしょう。
これだけ違う性格を完璧に演じることができるなんて、本当に演技が上手いとしか言えません。
対するジュニのスンジョンを見つめる優しい眼差しは最初から彼女が好きなのだとわかりやすく気付かせてくれます。
その優しいジュニがだんだんと地位を高める度に冷血に変わっていくところは怖かったですね。
ユン・ヒョンミンは顔がきつめなので怒ったりした時や冷たい態度の時は本当に怖さを感じますが、こんな彼が時折見せてくれる笑顔が好きでした。
そして、スンジョンの愛らしさは言葉では言い表せません。
秘書という仕事のせいで表面は強気を装うしかできないスンジョンですが、仕事を離れると普通の女性よりももっとか弱い女性です。
子供のように泣いたり笑ったりする素直な大人の女性としてとても愛らしくて、抱きしめたくなります。
そりゃあ、ドンウクもジュニもミノも「スンジョンに惚れる」筈でしょう!!
天体のような関係の2人
何度も自分の気持ちか細胞の持ち主であるドンウクの気持ちか考えてスンジョンから離れようとするミノですが、どう努力しても彼女と距離を置くことができません。
スンジョンはドンウクに「地球と衛星みたいな関係だと言われたことがある」と言われたそうです。
地球と衛星は地球の引力により離れることができない、そして地球がスンジョンであり衛星は今、ミノへと変わりました。
初めこそお互いに気を遣って何もないように接してきましたが、一度関係が男女へと変わると流砂のような勢いで2人は寄り添います。
ミノはスンジョンの影響でヘルミアを助ける方向に動くことを決め、ゴールド社とは距離を置きます。
ジュニがヘルミアからゴールド社の意向を受けて、ヘルミアを売却しようという最初とは正反対の路線へと変化します。
ジュニがヘルミアの管財人に
とうとうヘルミアの債権回収が難しくなった時、ゴールドパートナーズはジュニをヘルミアの管財人に指定して企業買収への足取りを固めてきます。
今ではジュニがゴールド社から信頼できる人物となり、ミノは自社の裏切り者となっています。
売却を急ぐジュニと自分の父親が作った会社を守ろうと思うように変わったミノは一触即発ですが、ミノは危機をなんとか乗り越えます。
その頃ドンウクが事故ではなく他殺だったという事実を警察が認めるようになります。
今まで事故として処理されていたドンウクの死が殺人だったということで、風向きが変わってきます。
犯人を追うことに躍起になるドンウクの仲間たち。
とうとう、ミノが夢で見たドンウクの細胞の記憶が特別な腕時計の存在を導き出します。
そしてその時計からはドンウクの血痕が見つかり、その持ち主はなんと━━ジュニでした。
ミノの心臓が危機に!!
ヘルミアから危機は去っていませんが、もっと酷い状況がミノの心臓でした。
移植した心臓への拒絶反応が今更出てきたのです。
一旦は移植して自分の体の一部になったドンウクの心臓をミノの細胞が拒絶し始めます。
一度拒絶しだしら受け入れなくなるのは人間の感情も細胞も同じです。
異物として移植した心臓を攻撃しだしたミノの体はこのまま耐えられるはずがありません。
主治医はこのままではミノが意識不明になってしまうと憂慮しますが、生きたいと願うミノの言葉に医師が勇気を与えられます。
患者が頑張るのだから、医師もできるだけのことをしようと強く約束します。
代表のミノがそんな状態ですから、ヘルミアは不渡りという最悪な事態を迎えてしまいます。
ミノはゴールドパートナーズ時代の自分が手を染めた企業買収の資料を提出してゴールド社と共に自分の過去の不正を暴き、ヘルミアをゴールド社から救います。
そこでジュニは出世したゴールドパートナー・アジア担当の本部長として奔走しようとしますが、ドンソク殺害の容疑で検挙され、仲間の検事も掌を返してしまう態度で、崖っぷちに追いやられます。
ゴールド社はミノとジュニを見捨ててヘルミアから手を引きます。
ジュニは殺人罪として起訴され、ミノは重篤な病のために執行猶予となりますが、スンジョンに会いに行こうとした途中で意識不明に陥ります。
また愛する人が亡くなるという恐怖に打ちひしがれるスンジョンですが、ミノの心臓は停止してしまい━━。
純情に惚れたから・・
ミノの片腕であるウシク(イ・シオン)とドンウクの後輩で彼の無念の死を晴らしたオッキュン(チョ・ウンジ)の結婚式に出席するため、アメリカから帰国したミノ。
ミノは心停止したものの、手術は無事に成功し、海外で仕事をしていました。
生きていて本当に良かった~と嬉し涙が出ました。
亡くなったものとばかり思っていたので・・。
スンジョンはウシクとオッキュンの結婚式が終わった後、ミノとの時間を過ごします。
そしてこう思うのです。
━━惜しみなく愛し合おう、人生は短いのだから、と。
『純情に惚れる』まとめ
すべてが大団円にまとまる話ほど楽しい物語はありません。
最後は登場人物の誰もが純情さを持って終わりを迎えます。
純情だったジュニが冷たい人間にはなってしまいましたが、ジュニもまたひとりぼっちになって純情さを取り戻していると思います。
人間は業や欲が深い生き物ですから、ある程度お金や地位が手に入ると、もっと上を目指そうと欲が出るものです。
それをジュニが教えてくれたように思います。
どんどん嫌な人物に変わっていきましたが、それは自分がますます孤独へと変わり、孤独だからこそ他人をますます信じられなかったからだとしか考えられません。
本当に愛する人がそばに居たなら、彼はもっと優しいままでいてくれたのだと思います。
人生愛するには短すぎるのですから、誰かを憎むことに時間を割くなら誰かを精いっぱい愛することに時間を使った方が幸せに生きられます。
スンジョンのように死を身近に感じたからこそ思えたのでしょうが、残りの自分の時間を考えるなら、誰かを愛して幸せに過ごした方が幸せに生きたと思えますね。