天下無敵の怖いもの知らずのキャリアウーマンを『善徳女王』で国民的女優となったイ・ヨウォン、気弱な下請け化粧品会社の課長を『シークレット・ガーデン』のユン・サンヒョンという豪華キャストが演じる凸凹コンビの企業サクセスストーリーです。
3人目を出産した後のイ・ヨウォンが2年ぶりのドラマ出演とあり、超話題作となった本作は、会社勤めの方たちが観れば必ずスカッとする作品です。
最近注目されるケーブルテレビJTBCのドラマとして注目を集めたこの作品は、女性側から見れば痛快なヒロインである勝気な女性オク・ダジョン(イ・ヨウォン)が、大手有名化粧品会社「黄金化学」から下請け会社「ラブリーコスメティック」に転職してきたことから始まります。
負けるが勝ち精神の持ち主ナム・ジョンギ(ユン・サンヒョン)課長の上司としてダジョンがやってきたことにより、細々と営業していた会社が急転怒涛の波に呑み込まれます。
はたして下請け企業「ラブリーコスメティック」とその社員の運命はどうなってしまうのでしょぅか?!
(画像はhttp://tv.jtbc.joins.com/wookcより引用)
『僕は彼女に絶対服従~カッとナム・ジョンギ~』あらすじ
強きをくじき弱きを助ける女オク・ダジョンが、負けるが勝ちをモットーにしてきた気の弱い男ナム・ジョンギの上司に!彼は彼女に絶対服従!?
中小の化粧品会社ラブリーコスメティックに勤めるナム・ジョンギは、小心者で部下に手柄を奪われ昇進でも先を越される憂うつな日々を送っていた。
そんな中、大事な新製品であるハーブ入り美容液のプレゼンを任されたジョンギだったが、先方の黄金化学の担当者は、とにかく気が強いことで有名なオク・ダジョンだった。
順調に進むかに見えたプレゼンだったが、サンプルの瓶が割れていて大失敗…。プレゼンの失敗を問われ、落ち込むジョンギの前に、ラブリーコスメティックに転職したダジョンが上司として現れる!公式ページより引用
『僕は彼女に絶対服従~カッとナム・ジョンギ~』見どころ
原題は「욱씨남정기(ウクシナムジョンギ)」といい、욱씨(ウクシ)とはカッとなるという意味です。
日本語の副題で最初はおとなしいナム・ジョンギが怒るのかと思っていたのですが、カッとするのはオク・ダジョンのことでした。
オク・ダジョンの秘かに呼ばれる別名が「ウク・ダジョン」でそれだけ彼女の性格がカッとなりやすいという厄介なものです。
つまり、日本的に言えば「욱씨남정기」=「オク(ウク)・ダジョンとナム・ジョンギ」という主人公2人のことをタイトルにしたようです。
絶対的強者であるオク・ダジョンと長いものには巻かれたがる服従者のナム・ジョンギのやりとりを面白おかしく描いています。
ウクシとナム・ジョンギ
王手化粧品会社「黄金化学」のエリート社員であり最年少チーム長の座に就いている女性とプレゼンをすることになった弱小下請け企業「ラブリーコスメティック」課長のナム・ジョンギ。
手掛ける商品は次々とヒットとなるやり手チーム長は離婚歴3回という問題のありそうな、性格に難のある女性ですが、その女性がオク・ダジョンです。
仕事は最高にできるものの、彼女の勝気で負けず嫌い、天上天下唯我独尊な性格のせいで、部下からの信頼はなし、仲間もいないのに寧ろそれが彼女をますます自由奔放に独走させています。
ジョンギの失敗により商品の瓶が破損していて強気の彼女とのプレゼンは失敗し、自社が誇るハーブエキスの新商品は黄金化学からは没扱いになってしまいます。
必死になったジョンギはダジョンの服を掴み、ブラウスのボタンを飛ばしてしまうという大失態までおかし、ますますダジョンの反発を食らい、落ち込みまくります。
何としてでも自信のあるハーブエキスを販売したいラブリーコスメティック社員たちは挽回のチャンスを狙って奮闘する日々。
ある日突然辣腕を振るう本部長としてラブリーコスメティックに転職してきたのは、こともあろうか、あのオク・ダジョンです。
黄金化学に嫌気がさして転職を決めたダジョンが選んだのは因縁のラブリーコスメティックでした。
しかも彼女の引っ越し先はジョンギの住むマンションの隣部屋です。
会社でもプライベートでもジョンギは気の休まる時がありません。
バツ3のキャリアウーマンとシングルファーザーでうだつの上がらない課長との戦いの日々の始まりです。
彼女がラブリーコスメティックを選んだことにより、成功を呼び込みますが、同時に大きな災いも引き連れてきてしまいます。
結婚した順番に強烈になる元夫たち
次々とラブリーの邪魔をする人物がダジョンの元夫というから、ジョンギの苦労は尽きません。
しかも別れた順番に邪魔するキャラが強烈になっていきます。
一番目の夫は黄金化学の実力派社員チ・ユンホ(ソン・ジェヒ)。
最初の禍の元凶で、ラブリーの新商品であり看板商品となるハーブエキスをパクって黄金化粧品から大々的に売り出して、いかにも「うちが元祖だ」と言わんばかりに発表します。
しかし、ダジョンの知略や社員の努力で本物の元祖である「ラブリーのハーブエキス」は無事に商品を軌道に乗せることができます。
他社の商品を偽造して自社ブランドにしたのは罪ですが、一番ダジョンを心配するいい男で憎めないのがユンホです。
カメオ出演でありながらも強烈な個性を残した『カノジョは嘘を愛しすぎている』『誘惑』のイ・ジョンジンは2番目の夫チャン・シファンとしてテレビショッピング会社の社長役です。
商品を広めたいラブリー社員たちの努力のたまものとしてテレビショッピング枠を掴みますが、社長はダジョンの2番目の夫で自分たちのせいではなく、親からの干渉で別れただけに、未だにダジョンに未練たらたらです。
跡継ぎを望まれる会長の一人息子であるだけに、彼の情熱はダジョンへと向けられますが・・。
一番厄介な三番目の夫であった個人企業投資家の企業買収やM&Aの金融専門であるイ・ジサンを、カメオ出演にしては長い出演時間でヨン・ジョンフン(女優ハン・ガインの夫です)が演じています。
またこの元夫もダジョンに未練たらたらで、ダジョンを手に入れようとラブリーの社長に投資話を持ちかけ、ラブリーを潰そうと策略します。
打倒ジサンの為にジョンギ始めラブリーの社員は彼に立ち向かいますが、なかなかの強者のジサンに会社を乗っ取られて潰されそうな羽目に・・。
この裏にも黄金科学の常務が関わっていて、どこまでもダジョンを憎むのかと頭にくる展開です。
ダジョンの服装がお洒落!!
キャリアウーマンとして働くダジョンの服装がとても洗練されていて素敵です。
身長170㎝のイ・ヨウォンだからこそのスタイルの良さもありますが、これが子供を3人も生んだ女性のスタイルとは思えません。
長身でハイヒールを履いて颯爽と歩く姿は男性顔負けの威厳があります。
高価そうな洋服で毎日違うファッションには憧れます。
たまに奇をてらいすぎて、どん引きするファッションもありますが、全体的にダジョンの企業戦士として働く女性のファッションはお洒落で、観ていてダジョンが次はどんな洋服を着るか楽しみになります。
社員あってこその会社
ラブリーの社員は個性的ですが、それぞれ事情を抱えています。
ジョンギとチョ社長(ユ・ジェミョン)と共に、会社設立からのメンバーで住宅ローンの支払いと5歳になる息子を育てる共働きのホン課長(キム・ソニョン)。
社員でありながら未だに奨学金の返済に苦しむヒョヌ(クォン・ヒョンサン)。
契約社員のため社員になろうと必死なデザイナー担当のミリ(ファン・ボラ)。
しかし、愛社精神はそれぞれ強く持っていて、ラブリーコスメティックを守るために日々奮闘しています。
社員あってこそのラブリーが観ていて嬉しくなります。
こんな会社で働きたいと思うような、会社を愛するメンバーたちです。
問題はたくさん抱え込みますが、社員たちの努力と汗と涙でこの会社が発展していく場面はこちらまで応援したくなるほどです。
『僕は彼女に絶対服従~カッとナム・ジョンギ~』キャスト相関図
『僕は彼女に絶対服従~カッとナム・ジョンギ~』感想
この作品は企業に勤める方ならあるあるの話ですから、会社員の方、会社勤め以外の働く方々(専業主婦も含めて)に是非とも観ていただきたい物語です。
日々働くからこその苦悩や葛藤、リストラなどの重い話もありますが、現代社会で働く私たちにとっては無視できない問題が山積みです。
そこを本部長であるダジョンが痛快に解決してくれるのですから、気分爽快になりますし、日々仕事に悩まされている方々にはストレス発散にもなります。
・・ただ、イ・ヨウォンの無表情さが『善徳女王』にしか見えないという弱点もありますが・・(笑)。
善徳女王|イヨウォン・コヒョンジュン・オムテウン・キムナムギル!感想見どころ・キャスト相関図|最高視聴率49.9%という驚異の数字をあげた韓国ドラマ
引っ越し早々にダジョンの車に傷をつけたというせいで修理代483万ウォンの借金まで背負ってしまったジョンギですが、借金はお金でなくダジョンの意見に「賛成」することで支払いをするという究極のイエスマンになってしまいます。
ジョンギは日々「賛成ノート」に自分のイエスした回数を記録して借金を消そうと必死ですが、また気弱なジョンギの奮闘が笑いを醸し出してくれます。
事なかれ主義で穏やかな湾のようなジョンギにダジョンという嵐のような上司がやってきたことで、波乱に満ちたジョンギの企業人として戦いが起こりますが、それはジョンギとって悪い影響ではないと思います。
気弱なだけでは社会の荒波は乗り越えて行けません。
乗り越えるための試練で出会ったダジョンは、ジョンギに与えられた人生のプレゼントではないでしょうか?!
ダジョンの手腕
ラブリーという会社は次から次へと問題が起こります。
一難去ってはまた一難という、ありえない展開ばかり起こる会社で、よくぞこんな企業が営業できると呆れますが、それを乗り越えて行くのがドラマです。
特に本部長としてのダジョンの活躍には目を見張るものがあります。
最初は黄金化学からの転職でいきなりジョンギがなると思われていたラブリーの本部長になったダジョンには、妬みと偏見の眼差しが向けられていました。
そこに加えて強気で何事も自分の考え通りにすべてを推し進めようとする性格の彼女ですから、社員たちの不満は限界になります。
しかし、論より証拠でダジョンの性格が問題なだけで、彼女の辣腕のおかげで物事はすべてうまいように進み、結局は問題が起こるとダジョンに救いを求めるようになります。
最初の頃はいがみ合っていたダジョンと社員ですが、実は細かいところまで注意を払って一人一人を見ていたダジョンはそれぞれの問題を解決していってあげます。
表面上は無表情で笑うこともない、能面のようなダジョンですが、誰よりも社員を見つめていて、女性ならではの細かい気配りができる心優しい女性だということに気付かせられます。
ただ、感情を表に出すのが苦手なだけのようで、実はもともと優しい女性でしたが、彼女が今のようになったのは3回の離婚による結果なのです・・。
家族の絆と弟ボンギの活躍
シングルファーザーのジョンギですが、彼には9歳の息子のウジュの他にマンションの管理人をする父、ニートの弟と男4人で生活しています。
友人のせいで背負い込んだ借金のために離婚したジョンギは現在、父と息子、おまけの存在のような弟とつましいけれど家族で仲良く暮らしています。
そんな中、隣に越してきたダジョンにより、ささやかな幸せが崩れていきます。
最初は「魔女」だと隣人を怖がっていた息子が、無表情だけれど実は人情に篤いダジョンの本質を見抜き、ダジョンに付きまといだします。
挙句の果てには「結婚する」と騒ぎだし、ジョンギと祖父に衝撃を与えます。
しかし、それに怯まないのがダジョンです。
ダジョンは「就職も必要だし、兵役もちゃんと終わらせないとね。あと20年は必要かしら?!そうなると私は60歳になるけど、それでも結婚してくれる?」
この言葉にショックを隠せないウジュは、60歳ならおじいちゃんと同じ年だ・・と子供ならではの現実話に悲嘆に暮れ、ダジョンとの結婚を諦めます。
そして、何事も続かない性格の弟ボンギを日本でも人気の2PMのファン・チャンソンが扮しているのですが、このニートの弟は実はやれば卒なくなんなりとこなせるという、稀有な才能の持ち主です。
この才能にダジョンは目を付けて、バイトとして色々な雑事を任せるのですが、すべて難なく完璧に熟してしまいます。
ラブリーの影の救世主となるべくダジョンから与えられたミッションを完遂し、活躍する姿はいい男すぎて惚れ惚れとしてしまいます。
ボンギのおかげでジョンギの「賛成ノート」の賛成の数もかなり減っていくという手柄もありますが、もともと「賛成ノート」の借金の原因は彼だという事実もあるのです・・。
牙をむく(?!)ナム・ジョンギ
99色のリップの発売で軌道に乗ったラブリーの社員たちですが、商品が話題になれば今までこちらからお願いしなくてはならなかった販売先のデパートやテナント、テレビショッピングやネット販売から多数の依頼が殺到します。
ダジョンはここで「賄賂や接待禁止令」を出すのですが、最初は断っていた社員たちも無理やり渡される商品やクレジットカードなどについつい手が出てしまいます。
みんなお金に困っていて、自分もちょっとだけなら・・と受け取ってしまうのですが、受け取ったことにより依頼主たちは自分たちが権利を得たと主張します。
ダジョンは禁止していたのにもかかわらず欲に走った社員に呆れますが、すべての尻拭いをして解決させます。
解決したものの、今度は社長が持ってきた投資会社であるダジョンの3番目の元夫に会社を乗っ取られそうになり、怒ったダジョンは会社を辞めてしまいます。
ダジョンが辞めて解決方法がなくなったラブリーの社員たちは落胆します。
ここでジョンギが牙をむくのですが、ジョンギの牙は犬歯ほどしかありません。
ラブリーはジサンに会社を乗っ取られ、潰れてしまうのでしょうか?
新入社員はあの人が・・
このドラマはカメオ出演者が豪華です。
ホン・ソクチョンがカメラマンとして出演したり、広告モデルにラッパーのCheetahなどが出ていますが、ラストでは新入社員にユン・シユンが登場します。
次回作の『魔女宝鑑』のために出演したようで、新卒の新入社員ユン・シユンとして紹介されますが、ジョンギから「この会社には魔女がいる」と言われて見つめた先にダジョンがいるというコミカルなシーンです。
除隊後のあまりイケてないもさっとしたユン・シユンがなかなかいい味を出しています。
『僕は彼女に絶対服従~カッとナム・ジョンギ~』まとめ
会社員として痛快なサクセスストーリーの本作ですが、実はロマンス要素も入っています。
弟ボンギの奇妙な三角関係から、ミリとの恋愛への発展で、ニートだった彼が就職しますが、ミリからは似合わないから辞めろと言われてしまいます。
ボンギは結婚を懇願しますが、金欠を理由に断られます。
その時のボンギの「金がなくちゃ恋愛も結婚もできないのか」という嘆きは現代の日本社会でも同じだと思いました。
確かに先立つものは必要ですが、恋愛は気持ちでするものです。
愛があるなら、などという気は毛頭ありませんが、お金がなければ2人で稼げばいいと思います。
お金がないからこそ掴んだ愛は真実の愛ではないでしょうか?!
また、ダジョンとジョンギのラブロマンスが始まりそうなラストシーンも必見です。
勝気なダジョンと気弱なジョンギの凸凹コンビの恋愛の始まりには観ていてほっこりします。
ウクシとナム・ジョンギの互いに足りないものを補い、心優しい2人の将来はきっと希望に満ち溢れたものになると予感させてくれます。
痛快なドラマで私は続きが気になり、一気に観てしまいました。
日々働くすべての方に観てもらいたい作品だと思います。