『ビューティフルマインド~愛が起こした奇跡~』は、『運命のように君を愛してる』のチャン・ヒョクと『シンデレラと4人の騎士』のパク・ソダムが主演した医療サスペンスも盛り込んだラブストーリーです。
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視聴率が振るわなくて2話短くされ、打ち切られたドラマですが、同時間帯にキム・レウォンとパク・シネ主演の同じく医療ドラマである『ドクターズ』があったという運の悪さもありました。
この作品は最高に泣けるヒューマンドラマを展開しています。
『ビューティフルマインド~愛が起こした奇跡~』あらすじ
他人の気持ちに共感できず、生まれてから一度も心から笑ったり、泣いたりしたことがない孤独な天才医師ヨンオ。長期留学を終えた彼は、ヒョンソン病院神経外科の助教授に就任する。ある日、ヨンオの元にひき逃げ事故に遭った患者が搬送されるが、回復の望みはないと判断したヨンオは手術を拒否。その患者の付き添いで居合わせた女性警官ジンソンは、早急に手術をするよう彼に要求するが…。その日の不審な事故を機に、医者として、警官として真相を探るべく、2人は協力し合うことに。やがて彼女の真っすぐな心を知るにつれて、今まで人に無関心だったヨンオの心に変化が生まれていく。
公式ページより引用
『ビューティフルマインド~愛が起こした奇跡~』見どころ
イ・ヨンオ(チャン・ヒョク)は天才神経外科医ですが、感情が一切わからない"反社会性パーソナル障害"という発達障害の一種で、他人の感情を理解することができないという病気をずっと抱えています。
喜怒哀楽が全く理解できない彼ですが、刑事のケ・ジンソン(パク・ソダム)と出会い触れ合っていくことで、感情というものに興味を抱くようになります。
謎のテーブルデス
交通巡査のケ・ジンソンの運んできた交通事故の救急患者を、イ・ヨンオが執刀するものの、患者は亡くなってしまいますが・・。
この亡くなった患者に疑問を持つヨンオですが、この死亡手術を最初として次々と起こる院内でのテーブルデス(術中死)に違和感を感じてしまいます。
このテーブルデスの原因を探るため、最初は衝突した熱血警察官のジンソンと院内を探りまわり、臨床試験の実態から"再生医療"と"連続するテーブルデス"の秘密へと近づいていきます。
チャン・ヒョクが9年ぶりの医師役
多くのドラマ作品で色々な役を演じて、日本でも人気の俳優チャン・ヒョクですが、白衣を着るのは『ありがとうございます』以来9年ぶりです。
今回のような自分の腕に自信があり、鼻につく天才医師などの役をさせれば一番似合う俳優かもしれません。
どんな役でも確実に自分のモノにしてしまう役者の1人ですが、自分勝手で傲慢なイ・ヨンオを鼻持ちならない嫌な男にして、しかしその実、反社会性の共感障害のせいで感情がわからないという病を持つ彼の正直な弱さまでを完璧に演じ切っています。
長い海外留学からヨンオが帰って来る場面からドラマは始まるのですが、なんと、最初からやらかしています。
韓国行きの飛行機の中で、ドラマでよくある「お客様にお医者様はいませんか?!」の患者発生のシーンですが、無視するヨンオ。
乗客のヨンオが医者であることを知るCAが助けを求めると、冷たい一瞥と「ここは私の病院ですか?!」といかにも、仕事以外では医者はしないというスタンスで無視します。
また帰国して病院を訪れると、そこでは新しいセンターのオープン式で祝辞を述べた次期大統領のキム・ミョンスにいきなり「あと数秒で時限爆弾が爆発する」と宣言し、数秒後に倒れたりと、様子や仕草を見ただけで病名とその発症する時期までわかる天才医師なのに、自分のパーソナル障害のせいで社会性のなさと、一匹狼の群れることのなさを最初から見せつけます。
様子や仕草から症状がわかるのは、父のイ・ゴンミョン(ホ・ジュノ)に幼い頃から感情を持たないヨンオを他人の感情の変化を知る訓練だけはさせていたことも関係しているのですが・・。
緊迫する病院内と様々な患者
ヨンオの勤務するヒョンソン病院は最新技術を駆使する最先端医療の大病院だけに、病院内の様々な確執、陰謀術数が渦巻いています。
誰もが地位を得たいと思い、地位あるものはその地位を手放そうとしない、現代社会の縮図のような場所です。
虎視眈々と他人の動静を見つめ、自分がいかに上手くやっていくのかを誰もが探り合っています。
そんな中で天才医師ヨンオは自分の立場とか、父が病院のセンター長であろうが関係ありません。
院内派閥も無視して、独立独歩のヨンオはただ毎日患者を診て手術を成功させることしか頭にはないのですから。
しかし、その患者も色々な事情を抱えています。
毎回ヨンオが受け持つ患者は初見とは別の事情抱える患者ばかりです。
そんな患者に対して、パーソナル障害を持つ医師ヨンオはどう振る舞って患者を救っていくのかも見どころです。
『ビューティフルマインド~愛が起こした奇跡~』キャスト相関図
『ビューティフルマインド~愛が起こした奇跡~』感想
この作品は最初は医療サンペンスも最初に盛り込んだ、見ごたえある作品です。
最終的には「反社会性パーソナル障害」の医師ヨンオが刑事のジンソンや患者とのふれあいで、静かながらも人間らしく変化するという、愛から奇跡を得た物語です。
最後の方は医師としては禁じられている信じられない行動をヨンオがとり、感情はわからなくても、愛と笑顔だけは大切なのだということに驚かされます。
ヨンオの病は父のせい?!
ヨンオは幼い頃ゴンミョンによる開頭手術を受け、そのまま彼の養子となりました。
父ゴンミョンはその手術の際に自分のミスでヨンオの感情がなくなったと思い、ヨンオに感情を持たせるように、人間らしく生きるように表情や動きで変化する感情の見分け方を教えます。
それは今でもずっとヨンオが勉強し続ける習慣になっています。
それだけ努力してもヨンオがずっと人間らしくなく、感情を持たないので、父子関係はぎくしゃくしたままです。
実はゴンミョンの手術は医療ミスではなかったのですが、昔の色々な軋轢や事件のせいで巧妙に施された罠がもつれています。
ヨンオは感情のないサイコパスという怪物ではなく、その罠の被害者でした。
自分が生まれついての怪物でないことを知ったヨンオの父への憤り方は、泣きました。
「今の自分の感情はなんというんだ⁈他の人はこんな時、どう思うんだ!!教えてくれ」と最終的には教えを請う子供のようで、感情にも興味がなかった彼が自分の感情に戸惑って、怯えている姿が自我を知った子供のようでした。
感情の発露の仕方がわからない戸惑いが、悲しくて、でも感情を自分の中に覚えたヨンオに人間らしさが芽生えた瞬間です。
ジンソンの病気
虐待されていると思われた児童、代理母出産の女性など様々な事情を抱えた患者がヨンオの元に集まりますが、特にヨンオに衝撃を与えたのは腫瘍を患った夫と妊娠中の妻の夫婦でした。
生まれてくる子供を抱きたいと願う夫の為に、今まで自分の手術の実績と成功しか考えていなかったヨンオが"患者の為に"手術の成功を考えます。
一方、プライベートではジンソンに告白して初めて知る「ドキドキする」という感情を知ったヨンオですが、検査を受けても以前と数値に変化はなく、「愛なんてホルモン異常のまやかしだ」とまた自らの感情を否定しだします。
患者の手術は成功したものの、腫瘍は脊髄まで転移していて、助かる見込みは限りなくありませんが、彼の望みを叶えるべく奮闘して患者に「家族でいられる時間」を作ったけれど、最後は患者の願いで死を受け入れることになります。
彼の死でヨンオの中の感情に対する考えが深くなり、彼が何を思い、本当に望んでいたものを考慮します。
確実に患者とジンソンとの関わりの中でヨンオの他人に興味のなかった思いがどんどん変化していくのがわかります。
今までの彼にはなかった他人を理解しようとする気持ち、女性を愛するという気持ち。
しかし、そんな中でジンソンが幼い頃から患っていた病気治療の為に長年の投薬により肺の機能が低下して、抗生剤はもう効かなくなっていることがわかり、移植しか方法はない事態に陥ります。
ジンソンの担当医だったヒョン・ソクジュ医師(ユン・ヒョンミン)が手掛ける再生医療の新しい治療を施そうとしますが━━。
医師として禁断の決断
ヒョン医師の再生医療法には副作用があり、昔同じ手術をした被験者が死亡していること、そしてジンソンもその手術をした1人であることをヨンオは告げ、再生医療を止めようとします。
しかし、その手術をしないとなれば、今すぐ臓器提供者がいない今のジンソンは危険な状態になります。
そこでヨンオは医者として法に触れる方法で確実にジンソンを助ける手段を提案し、ヒョン医師に秘密裏の手術を頼みます。
自分がドナーとなり、片方の肺をジンソンに提供すること。
勿論、違法行為であることを知ったうえで、医師としての資格もなくなる可能性が高いことを知っていても、自分の健康な肉体の一部を愛するジンソンに捧げると━━。
手術は無事に成功しジンソンは助かりますが、ヨンオとヒョン医師は倫理委員会に呼び出され、医師としての道が閉ざされた覚悟を決めます。
『ビューティフルマインド~愛が起こした奇跡~』まとめ
最初は他人に興味がなく、他人の感情は学んだことにより仕草や動きで自分なりに理解していたヨンオですので、感情のあり方自体もわからなくり、患者やジンソン、他の人々との交流により感情という心理に目覚めていくところは心が動かされます。
冷血漢のように他人のことを分析していた彼が、自分の中にも感情があり、でもその感情が何かわからなくて苦しむ様子は反社会性パーソナル障害という病気を抱えて生きてきた彼ならではです。
愛するジンソンだけではなく、患者たちの家族愛、同僚たちの友情などに触れて彼はどんどん人間らしく変化していきます。
ヨンオの「僕にとってできる唯一の選択は、君を愛することだ」というシーンは感動しました。
ラストには究極の自分の医者という職業を捨てる覚悟までして、ジンソンを助けるために自分の身を捧げるという究極の愛です。
これが他人に興味がなく、人間らしくなかった彼が出した「愛する人をどうしても助けたい」という決断までさせた最上級の変化です。
精神的な障害もなく生きている私たちが愛する人が臓器が必要だからと言われて、肺のような大事な臓器を片方提供し、職業も奪われるような違法行為と知りながらできるでしょうか?!
ヨンオは最終的に愛の力によって、普通の人間以上の人間になれたのだと思います。
医師という職業も父の退任ということでヒョン医師と共に続けることができ、ハッピーエンドで終わりますが、究極の愛の選択だったと思います。
ラブストーリーとはなっていますが、感情のなかった医師が、ふれあいや愛の力で人間になり、究極の愛を示した素晴らしいヒューマンドラマの傑作作品です。
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