ドラマ『善徳女王』や映画『美人図』で人気俳優となったキム・ナムギルとドラマ『偉大なる糟糠の妻』『おひとりさま~一人酒男女~』の清楚もセクシーも熟すファンウ・スレが主演の映画です。
2009年『善徳女王』前に撮影、2010年公開されたこの映画で、キム・ナムギルはこの主人公の病気という役作りのために大幅な減量をして撮影したことで、この撮影後の『善徳女王』のピダムのスタイルの良さが際立ちました。
善徳女王|イヨウォン・コヒョンジュン・オムテウン・キムナムギル!感想見どころ・キャスト相関図|最高視聴率49.9%という驚異の数字をあげた韓国ドラマ
そのおかげか『善徳女王』は驚異の49.9%という視聴率で国民的ドラマとなり、キム・ナムギルは「ピダム」役で一気に国民的スターに躍り出ましたが、あまりにも痩せた為に「顔立ちが変わった」と整形疑惑が持ち上がった程です。
しかし、当時無名に近いキム・ナムギルに整形疑惑がつきまとうまで人気が高まり、彼の過去作品も注文されたという事実は彼の人気の表れでしょう。
この映画での減量がなければ、キム・ナムギルの魅力はいかな『善徳女王』出演といえどもありえなかったことでしょう。
(画像はhttps://movie.daum.net/moviedb/main?movieId=50111より引用)
『愛の運命-暴風前夜-』あらすじ
将来を有望視されていたシェフのスインは、妻を殺した犯人に間違われ、冤罪で刑務所に入れられてしまう。刑務所内で知り合った囚人サンビョンの助けを得て脱獄したスインだったが、事件の真犯人はすでに自殺しており、妻の復讐を果たすことも、自身の無実を証明することもできなくなってしまう。やがて海辺のレストランを経営する女性ミアと出会い、シェフとして雇われたスインは、ミアに惹かれていくが……。
映画.comより引用
『愛の運命-暴風前夜-』見どころ
海辺でカフェを営むミア(ファンウ・スレ)はサンビョン(チョン・ユンミン)とジノホ(オ・ヘソク)という移動しながらマジックショーをしている2人と出会います。
サンビョンを好きになったミアはでマジックショーのアシスタントをしながら暮らし、そんな3人の幸せがずっと続くと思っていました。
あまりにサンビョンが好きすぎたミアは避妊具を付けさせずに無理矢理サンビョンと性交渉をしてしまいます。
ある日愛し合うサンビョンとジノホの姿を目撃したミアは、錯乱して自分と彼のどちらを愛しているのかサンビョンに問い詰めて、誤って銃を発砲してジノホを殺してしまいます。
サンビョンは亡くした恋人への悲しみと、ミアをそこまでの行動に走らせてしまった後悔から、銃を奪って自分が殺害したと自首して収監される道を選びます。
刑務所での出会い
殺人罪で収監されたサンビョンに近付くスイン(キム・ナムギル)は毎年脱走を企てる要注意人物の収容者です。
スインは浮気した妻を殺したという罪で無期懲役刑を受けていますが、彼は妻を殺していません。
冤罪です。
サンビョンが同性愛者であるから近付いたのです。
同性愛ならではの病気のキャリアであろうと考えて・・。
スインは休憩時間にサンビョンからマジックを教えてもらったりして段々と仲良くなっていきます。
マジシャンなら料理材料さえ揃えれば好きな料理を作ると言うスイン。
シェフなのかとサンビョンから聞かれて、俺の料理を嫌った奴は1人だけ、妻の浮気相手だとスインは淡々と答えますが、その言葉とは裏腹にスインの中には未だに自分の冤罪を晴らすという強い思いが渦巻いています。
復讐のための病気感染
とうとうスインはHIVの症状が顕著になったサンビョンの病室に入り込み、彼の点滴を抜き、自分の身体に彼の血の付いた針を入れることで自身の方が重篤なエイズ罹患者へと変わってしまいます。
スインはエイズ患者は特赦を与えられて刑務所から釈放されるという誤った噂を聞いたために、自分にもサンビョンの病気を感染させて刑務所から出るつもりでした。
エイズなのに4年も刑務所から出られないサンビョンはその噂が嘘で、血液感染のエイズは3年程しか生きられないとスインに告げます。
刑務所から出ることができないどころか自分の命が3年しかないと知ったスインは愕然とします。
妻の浮気相手であり妻を殺害した本当の相手を捕まえるべく、特赦にすがって罹患したのに、現実にはエイズに感染しても特赦が与えられず、ただ、死にゆく苦しみと怖れだけを味わうことになったのですから。
暫くは気力を失っていたスインですが、病気を利用して脱獄を謀り、脱獄囚として追われる身になり果てます。
同じ刑務所から離れる時にサンビョンから「色紙を差し入れて欲しい」「海辺のカフェ〖ルート〗にミアという女性がいる。その女性が元気かどうか知らせてくれ」と頼まれていました。
カフェルートへと
脱獄したスインは妻の浮気相手で妻を殺害した神父を友人の手を借りて捕まえます。
彼の本当の罪を暴いて自分の無実の罪を晴らす目的でしたが、神父を誘い出したところで感情が堪えきれず、ボコボコにしてしまいます。
本人がカトリックの神父で神父になる前に出会い、スインと結婚した後にまた誘われて戒律を犯してしまったことを反省します。
そりゃ、戒律以前に人間として浮気や殺人までしておきながら神父なんて、殴っても蹴っても夫としてはやり切れないでしょう。
いくら脅されたとはいえ、殺人は人間としても犯してはならない罪なのにいけしゃあしゃあと告白する神父なんてどういうこと?と思いますが、彼はこの時には自分の運命の決断をしていたのでしょう。
スインとその友人と一緒に警察に行き全て話すと約束したのに、途中で走り逃げ、崖から身投げして自殺してしまいます。
もうスインには自分の無実を釈明できる要素はなくなり、一生妻殺しの脱獄者という汚名の他は幾ばくかの余生しか残されていません。
そんな時、思い出したのがカフェルートでした。
行く予定もないのにカフェの近くの海辺で強く波に洗われながら佇んでいると、勘違いしたミアが「ここは自殺禁止区域です」とカフェから放送して彼がカフェに現れてから2人に縁が芽生えます。
カフェのシェフへ
スインはカフェでミアと出会い、食べ物が提供できないという決定的な欠点のあるカフェの為にシェフになります。
病気は着々とスインを蝕んでいますが、それをひた隠しにして見事な料理の腕前を振るう才能にミアは満足です。
スインはここで「イム・ユジン」と名前を偽り、閑古鳥が鳴くカフェから着実に美味しい食事のカフェへと変貌させ、穏やかに日々を過ごしていきます。
海辺のカフェはいつも風が強く、白と赤の吹き流しが棚引いています。
風が強いだけに波はいつも怒涛のように岸の岩場に打ち寄せ、すべてのものを呑み込もうとするような勢いです。
そんな中で病気を患ったスインはただ静かに日々を過ごします。
自分の妻を殺した神父が死んでしまったことにより、自分のせいで自殺したのではないかという後悔の思いと血液感染で生きられない、もって3年の命のカウントダウンと向き合いながら、好きな料理を作って客に提供することだけがスインの生き甲斐にもなっています。
そんな中でオーナーとしてのミアとは良好な主従関係を築いていきます。
ミアはホテル住まいでホテルからいつもこのカフェに通っています。
彼女がホテルで暮らす理由は「近所付き合いをしなくていい」という少しばかり厭世観を感じさせるものでした。
ミアの隣の部屋でスインも過ごし、何事もなくこの風の強い海辺で残りわずかな命の炎を灯そうとしていました。
『愛の運命-暴風前夜-』感想
この映画の撮影は済州島で撮影され、映像美が素晴らしいと感じます。
カフェのある海辺の景色やミアが休日にスインを連れて行ったロープウェイからの景色、行った先から見える海と島々の俯瞰図。
その他に感動さえ感じる美しい映像と共にビッグママの『하루만(一日だけ)』という曲が流れた時には、声の力強さと切ない響きに、感情ががくがく揺さぶられるような気がしました。
スインの影の強さに女性は惹かれると思います。
刑務所での囚人服の1人だけスタイリッシュな着こなしや、言葉は少ないのに目だけで感情を表現できるのはキム・ナムギルならではだと思います。
このスインは本当は熱い滾るものを心の中に熾火のようにくすぶらせているのに、言葉少なで、表情はどこかいつも儚げ、感情さえも昂ぶらせることのない受動的な男性です。
スインの変化の欠しい演技からミアにいつ惹かれたのかもわかりませんが、私も気付いたら彼がミアに惹かれていたと思うようになりました。
何があったわけでもなく、絶対に壊れない雇い主と雇われた料理人から愛情がいつの間にか感じられるようになりました。
これは台詞の少ない映画だからこその、キム・ナムギルの目を注目してもらいたいところです。
1年が経ち・・
ミアはスインに誕生日だとお祝いをします。
戸惑うスインですが、あなたがここへ来て1年の誕生日だと笑顔で告げます。
ケーキを出すマジックをミアが披露して、その後は浜辺で2人の時間を過ごし、ミアがスインの肩に頭を凭せ掛け、嫌がったらクビよと冗談混じりて過ごす中、スインも1つだけマジックができると披露します。
固まるミア。
それはミアが知っているサンビョンのマジックの方法でした。
スインはサンビョンからマジックを教えてもらったこと、そしてサンビョンから血を貰ったことを正直に話します。
あまりの衝撃にミアはスインからもカフェからも逃げますが、サンビョンの面会に行き全てを知ります。
その頃警察が何故かスインを追い求めてホテルやカフェに来るようになり、ミアはスインを逃します。
スインのいなくなった暫く後、暴風の夜にカフェの戸締りをして帰ろうとしたミアは暴漢にレイプされ、泣き叫びますが、暴風の夜誰も助けは来ませんでした。
11ヶ月後
ある日カフェに来たミアは鍵が開いている事を不信がり、カフェの中を探るとスインがいました。
スインは頼るような瞳でミアを見つめ、給料はいらないから雇ってくれと懇願します。
——俺の料理が必要だろう?と。
初めてスインが自ら行動し、ミアへの愛情を示しました。
ミアもサンビョンと避妊具なしで性交渉してからHIVの感染者になっていました。
定期的に病院に通わなくてはならなかったのです。
同じ病気の2人が会いたいと思い、再会したのです。
愛の運命
HIVに犯されている2人に安らぎは与えてくれません。
猟銃店のチョはスインを通報すると脅し、実際に通報してミアはホテルの自分の部屋のマジックの箱にスインを隠します。
チョの店をミアが訪ねると、猟銃殺人の本当の犯人を知っていると言われ、ミアも彼に私をレイプした人を知っていると答えます。
チョがミアを暴風雨の中レイプしたのですが、ミアは憎いけどあなたに感染しなくて良かったと、感染しないように祈ったと泣きました。
その場面を挟みながら警察がマジックボックスに剣を刺していき、残り少ない命と警察官に言っても警察官は容赦ありません。
箱から何も出ずに警察官が帰った後、箱を開くとスインが現れます。
暴風前夜〜最期のマジック
ミアはサンビョンから習ったマジックをスイン1人に披露します。
拍手喝采の後、ミアとスインは一緒に晩御飯を食べています。
ミアが店じまいすると切り出すと、俺はクビ?と聞くスイン。
ミアは微笑んで美味しいと彼の料理を食べています。
ミアの心は決まっていました。
彼女は最後の晩餐と言いました。
ホテルに帰るとミアから感情が抑えられなくなり、2人は体ごと愛し合います。
全てを忘れられるように、深く、深く——。
翌日ミアは海辺に立ち、またスインにマジックをお披露目するので目を閉じてとお願いします。
30秒後目を開けたスインの前には花吹雪のような舞う折り紙の欠片が一面に降り注ぎ、誰もいない海が見えます。
スインはこのマジックなら俺も出来ると笑顔で海に走ります——。
『愛の運命-暴風前夜-』まとめ
死人役者と言われたキム・ナムギルが死ぬのは予想できる映画です。
キム・ナムギルは死人役者を受け入れていましたが、今では『医心伝心』や、最新ドラマ『熱血司祭(日本語タイトル未定)』では死人やめましたから(笑)。
若い頃のキム・ナムギルいいと思って観て欲しいです。
ファン(ペン)なら感動します!!